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2018年4月の注目論文(Vol. 2)

宮﨑泰司(長崎大学 原爆後障害医療研究所 所長)

2018.04.19

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2018年4月分(Vol. 2)は、宮﨑泰司氏が担当します。

Safety and preliminary efficacy of venetoclax with decitabine or azacitidine in elderly patients with previously untreated acute myeloid leukaemia: a non-randomised, open-label, phase 1b study.

Lancet Oncol. 19(2):216-228

DiNardo CD, Pratz KW, Letai A, Jonas BA, Wei AH, Thirman M, Arellano M, Frattini MG, Kantarjian H, Popovic R, Chyla B, Xu T, Dunbar M, Agarwal SK, Humerickhouse R, Mabry M, Potluri J, Konopleva M, Pollyea DA

ここに注目!

BCL2阻害剤であるVenetoclax (VNC)を強力治療が適応とならない、染色体リスク中間または高リスク初発急性骨髄性白血病(AML)に対して用いた試験で、DNAメチル化酵素阻害剤のデシタビン(DCB)またはアザシチジン(AZA)との併用における安全性が主要評価項目である。DCB(コホートA)/AZA(コホートB)+VNC治療が、そして一部ではポサコナゾール併用(コホートC)が実施された。57名の患者が登録され、重篤な有害事象としては発熱性好中球減少症、肺感染症、嘔気、倦怠感などで血球減少に関連するものが多かった。VNCの第Ⅱ相試験至適投与量は400/800mgとなった。それぞれのコホートで全奏効は59-67%であった。治療の困難な一群に対して期待の持てる結果である。

Number of RUNX1 mutations, wild-type allele loss and additional mutations impact on prognosis in adult RUNX1-mutated AML.

Leukemia. 32(2):295-302

Stengel A, Kern W, Meggendorfer M, Nadarajah N, Perglerovà K, Haferlach T, Haferlach C

ここに注目!

RUNX1変異を有するAMLは、ゲノム異常に特異的なパターンを持ち、且つ予後不良である。この研究ではRUNX1変異数、野生型RUNX1欠失がAMLの病態にどのようなインパクトを持つのか、467例のRUNX1異常AML例で検討している。その結果RUNX1変異が一つの例では染色体異常として+8が、野生型RUNX1欠失では+13が最も多かった。他の遺伝子異常としてはSRSF2, ASXL1, DNMT3A, IDH1, SF3B1の頻度が高く、野生型RUNX1欠失では他と比較してASXL1変異頻度が有意に高かった。生存期間中央値にも野生型RUNX1欠失例(5カ月)、RUNX1変異複数例(14カ月)、RUNX1変異が一つの例(22カ月)で差があり、RUNX1以外の遺伝子変異とその数(ASXL1変異、あるいは2個以上の変異)も有意な予後因子であった。RUNX1変異を伴うAMLはその変異のあり方(欠失、変異数)や随伴する遺伝子異常によって異なる病状をとることが示されており、今後の治療戦略にも重要な示唆を与える論文である。

High-dose methotrexate therapy significantly improved survival of adult acute lymphoblastic leukemia: a phase III study by JALSG.

Leukemia. 32(3):626-632

Sakura T, Hayakawa F, Sugiura I, Murayama T, Imai K, Usui N, Fujisawa S, Yamauchi T, Yujiri T, Kakihana K, Ito Y, Kanamori H, Ueda Y, Miyata Y, Kurokawa M, Asou N, Ohnishi K, Ohtake S, Kobayashi Y, Matsuo K, Kiyoi H, Miyazaki Y, Naoe T

ここに注目!

成人急性リンパ性白血病(ALL)に対するメトトレキサート(MTX)の有効性は既に知られているが、至適用量は明らかではない。そこで、フィラデルフィア染色体陰性ALLを対象に寛解後療法における大量(Hd)-MTX (3g/m2)と通常量(Id)-MTX(0.5g/m2)の無作為比較試験が実施された。登録症例は360例(25-64歳)で全体の寛解率は86%。寛解後にHd-またはId-MTX群に115例と114例が割り付けられ、それぞれの5年無病生存率は58%と32%でHd-MTX群が有意に優れていた(P=0.0218)。重篤な有害事象に差はみられず、Hd-MTXの優位性を明らかにした本邦からの臨床研究である。