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血液学の最新論文(2018年7月リリース分)すべて見る

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学会レポートCongress Report
再発・難治性多発性骨髄腫に対するエロツズマブ+Pd療法がPFSを延長 EHA2018レポート①-2 Late-Breaking Oral Session EHA2018の最終日に行なわれた Late-Breaking Oral Session では、わが国の施設も参加した臨床研究の結果が2題、報告された。一つは発作性夜間血色素尿症(PNH)の治療に用いられるエクリズマブの後継薬となるRavulizumabについての、エクリズマブに対する非劣性試験の結果、もう一つは、再発・難治性多発性骨髄腫に対し、ポマリドミドと低用量デキサメタゾンの併用療法(Pd療法)と、それにエロツズマブを加えたEPd療法の治療成績を比較した臨床試験の結果である。この2演題について紹介する。再発・難治性多発性骨髄腫に対するエロツズマブ+Pd療法がPFSを延長Meletios Dimopoulos(National and Kapodistrian University of Athens, Athens, Greece)2018.08.09再発・難治性多発性骨髄腫(RRMM)に対し、近年、免疫調節薬やプロテアソーム阻害薬で多くの新規薬剤が登場し、それらによる救援療法や様々な併用療法が行なわれているが、その成績は決して良好とはいえない。
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PNHへの8週間隔のravulizumab投与は2週間隔のエクリズマブ投与に対し非劣性 EHA2018レポート①-1 Late-Breaking Oral Session EHA2018の最終日に行なわれた Late-Breaking Oral Session では、わが国の施設も参加した臨床研究の結果が2題、報告された。一つは発作性夜間血色素尿症(PNH)の治療に用いられるエクリズマブの後継薬となるRavulizumabについての、エクリズマブに対する非劣性試験の結果、もう一つは、再発・難治性多発性骨髄腫に対し、ポマリドミドと低用量デキサメタゾンの併用療法(Pd療法)と、それにエロツズマブを加えたEPd療法の治療成績を比較した臨床試験の結果である。この2演題について紹介する。PNHへの8週間隔のravulizumab投与は2週間隔のエクリズマブ投与に対し非劣性Jong Wook Lee(Department of Hematology, Seoul St. Mary’s Hospital, College of Medicine, The Catholic University of Korea, Seoul, Korea, Republic Of)2018.08.09発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、補体C5に対するヒト化モノクローナル抗体のエクリズマブの登場により、血管内溶血が比較的コントロール良好となり、血栓症など溶血に伴う様々な臨床症状への効果も期待されている。その後継薬であるravulizumabについて、エクリズマブとの非劣性比較が、25カ国の国際共同第Ⅲ相臨床試験として実施され、ravulizumabがエクリズマブに対し非劣性であったとの報告が、韓国のJong Wook Lee氏により行なわれた。
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2018年8月の注目論文(Vol. 1) 2018年8月の注目論文(Vol. 1)宮﨑泰司(長崎大学 原爆後障害医療研究所 所長)2018.08.09血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2018年8月分(Vol. 1)は、宮﨑泰司氏が担当します。
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沖縄での移植存続をかけ新たに体制整備 多職種連携で「島で治したい」思いに応える(後編) 沖縄での移植存続をかけ新たに体制整備 多職種連携で「島で治したい」思いに応える(後編)社会医療法人かりゆし会 ハートライフ病院(沖縄県中頭郡中城村)2018.08.09ハートライフ病院でも他地域と同様、血液内科の患者は高齢者が多く、治療後寛解を得た患者をどのように施設や自宅に安全に戻し、そこで必要な医療をどう提供するのかが課題になっている。在宅治療では、地域の医師やケアマネジャー、ヘルパーなどとの連携と情報共有が欠かせない。
最新の血液疾患解説Comments on Hematology
再生不良性貧血の早期診断と新規治療法 特集分子病態の解明が進む骨髄不全症難治性貧血の診断・治療の最新動向(1)近年、次世代シークエンサーによる網羅的ゲノム解析などにより骨髄不全症についての分子病態の解明が進み、その知見が診断に反映されるようになってきた。さらに、新規治療薬が次々と登場し、これまで限られた選択肢しかなかった骨髄不全症の治療の選択肢が広がっている。ここでは「再生不良性貧血」、「骨髄異形成症候群」、「発作性夜間ヘモグロビン尿症」、「赤芽球癆」の診断と治療について、各疾患の専門家に最新の情報をもとに分かりやすく解説していただいた。(責任編集 張替秀郎)再生不良性貧血の早期診断と新規治療法山﨑宏人(金沢大学附属病院 輸血部)2018.08.02「再生不良性貧血診療の参照ガイド」2018年改訂を反映しました

再生不良性貧血(AA)では、移植非適応の未治療患者に対する標準治療として、抗胸腺細胞グロブリン+シクロスポリン(CsA)療法が長らく用いられてきた。2017年8月にthrombopoietin受容体作動薬のエルトロンボパグがAAに対し適応追加となり、約20年ぶりの新規治療薬の登場となった。また、同時にCsAの非重症AAへの適応拡大が認められた。これらを受けて、「再生不良性貧血診療の参照ガイド(特発性造血障害に関する調査研究班)」の治療指針が大きく改訂された。ここでは、エルトロンボパグの話題を中心に、AAの早期診断の重要性と重症度基準に基づく治療方針について概説する。
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臨床・研究の最新トレンドとわが国の若手研究者の活躍 EHA2018スペシャルレポート臨床・研究の最新トレンドとわが国の若手研究者の活躍第23回欧州血液学会(EHA2018)2018.08.022018年6月14〜17日、スウェーデン・ストックホルムで第23回欧州血液学会(EHA2018)が開催され、欧州49カ国を含め世界117カ国から、1万1000人以上が参加しました。4日間の日程で139のセッションが設けられ、そのうち97のInvited speaker programセッションでは、270演題を超える発表がありました。
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FLからDLBCLへの形質転換を簡便に判定するための新しい評価指標を提案 EHA2018スペシャルレポート わが国の若手研究者の発表より(3) EHA2018では約2,800の採択演題のうち4割以上が誌上発表のみであったため、口演発表の採択率がとても低く、著名な研究者でもポスターで発表する姿がみられました。ここでは、EHAで初めて口演発表、ポスター発表を行なった日本の若手研究者3名に注目し、ご研究内容とEHA発表後の感想をお聞きしました。FLからDLBCLへの形質転換を簡便に判定するための新しい評価指標を提案七條敬文(国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科)2018.08.02第23回欧州血液学会(EHA2018)のポスターセッション「Indolent Non-Hodgkin lymphoma-Clinical」で、「New Assessment Index of Clinical Transformation from Follicular Lymphoma(FL) to Diffuse Large B-Cell Lymphoma(DLBCL) in Rituximab Era」というタイトルで発表しました。濾胞性リンパ腫(FL)からびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)への形質転換を判定するためには腫瘍生検による病理組織学的診断が必須ですが、生検が困難な患者も少なくありません。本研究では、そのような患者における形質転換を臨床マーカーによって判定することを目的とし、FLの形質転換を簡便に評価できる新しい指標を提案しました。
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沖縄での移植存続をかけ新たに体制整備 多職種連携で「島で治したい」思いに応える(前編) 沖縄での移植存続をかけ新たに体制整備 多職種連携で「島で治したい」思いに応える(前編)社会医療法人かりゆし会 ハートライフ病院(沖縄県中頭郡中城村)2018.08.02「県内の骨髄バンク移植を途絶えさせない」。そんな思いから、2010年に骨髄バンク認定移植施設となったハートライフ病院は、以来、臍帯血移植など少しずつ移植医療の範囲を拡大してきた。「島で治したい」という県民の思いを酌み、琉球大学とともに沖縄県の造血細胞移植を支える。院内外の多職種と密にコミュニケーションする血液内科の日々の活動を紹介する。
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Nestin陽性細胞におけるNotchシグナルの造血に関する役割を発見 EHA2018スペシャルレポート わが国の若手研究者の発表より(2) EHA2018では約2,800の採択演題のうち4割以上が誌上発表のみであったため、口演発表の採択率がとても低く、著名な研究者でもポスターで発表する姿がみられました。ここでは、EHAで初めて口演発表、ポスター発表を行なった日本の若手研究者3名に注目し、ご研究内容とEHA発表後の感想をお聞きしました。Nestin陽性細胞におけるNotchシグナルの造血に関する役割を発見坂本竜弘(筑波大学附属病院 血液内科)2018.07.26第23回欧州血液学会(EHA2018)のポスターセッション「Hematopoiesis, stem cells and microenvironment」で、「Bone marrow erythropoietic defect accompanying extramedullary hematopoiesis is mimicked by downregulation of notch signaling in specific microenvironment」というタイトルで発表しました。骨髄内の微小環境を構成するNestin陽性細胞におけるNotchシグナルは、骨髄の赤芽球系の造血にも影響を及ぼしていること、およびそのメカニズムにはIL-6とヘプシジンの上昇が関与していることを示した研究結果です。
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コヒーシン遺伝子STAG2が造血系に及ぼす影響を条件付きノックアウトマウスの解析を通じて解明 EHA2018スペシャルレポート わが国の若手研究者の発表より(1) EHA2018では約2,800の採択演題のうち4割以上が誌上発表のみであったため、口演発表の採択率がとても低く、著名な研究者でもポスターで発表する姿がみられました。ここでは、EHAで初めて口演発表、ポスター発表を行なった日本の若手研究者3名に注目し、ご研究内容とEHA発表後の感想をお聞きしました。コヒーシン遺伝子STAG2が造血系に及ぼす影響を条件付きノックアウトマウスの解析を通じて解明越智陽太郎(京都大学大学院医学研究科 腫瘍生物学講座)2018.07.19第23回欧州血液学会(EHA2018)の「AML Biology & Translational Research 1 : Epigenetics」というセッションで口演発表しました。タイトルは「Stag2 regulates hematopoietic differentiation and self-renewal」です。これは、コヒーシン遺伝子の一つであるSTAG2遺伝子の機能を調べるために、Stag2遺伝子条件付きノックアウトマウスを作成し、解析した研究結果です。Stag2欠失造血幹細胞でGata1Gata2Runx1といった造血幹細胞の維持、分化を制御する転写因子群が高発現し、造血幹細胞の自己複製能の向上や分化障害が生じることなどが明らかになりました。
最新の血液疾患解説Comments on Hematology
分子病態の解明が進む骨髄不全症 難治性貧血の診断・治療の最新動向 特集分子病態の解明が進む骨髄不全症 難治性貧血の診断・治療の最新動向責任編集:張替秀郎(東北大学大学院 医学系研究科 血液・免疫病学分野)2018.07.19近年、次世代シークエンサーによる網羅的ゲノム解析などにより骨髄不全症についての分子病態の解明が進み、その知見が診断に反映されるようになってきた。さらに、新規治療薬が次々と登場し、これまで限られた選択肢しかなかった骨髄不全症の治療の選択肢が広がっている。ここでは「再生不良性貧血」、「骨髄異形成症候群」、「発作性夜間ヘモグロビン尿症」、「赤芽球癆」の診断と治療について、各疾患の専門家に最新の情報をもとに分かりやすく解説していただいた。
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赤芽球癆の病態と治療 特集分子病態の解明が進む骨髄不全症難治性貧血の診断・治療の最新動向(4)近年、次世代シークエンサーによる網羅的ゲノム解析などにより骨髄不全症についての分子病態の解明が進み、その知見が診断に反映されるようになってきた。さらに、新規治療薬が次々と登場し、これまで限られた選択肢しかなかった骨髄不全症の治療の選択肢が広がっている。ここでは「再生不良性貧血」、「骨髄異形成症候群」、「発作性夜間ヘモグロビン尿症」、「赤芽球癆」の診断と治療について、各疾患の専門家に最新の情報をもとに分かりやすく解説していただいた。(責任編集 張替秀郎)赤芽球癆の病態と治療廣川誠(秋田大学大学院医学系研究科 総合診療・検査診断学講座)2018.07.19赤芽球癆は、造血幹細胞・前駆細胞から分化した赤血球系前駆細胞の減少によって発症する骨髄不全症で、正球性貧血、網赤血球の減少、骨髄赤芽球の著減を特徴とする難治性の貧血である。その原因は様々で、治療法もその病因により異なる。ここでは赤芽球癆の病態、診断、治療方針について概説する。
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2018年7月の注目論文(Vol. 2) 2018年7月の注目論文(Vol. 2)前田嘉信(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科 教授)2018.07.19血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2018年7月分(Vol. 2)は、前田嘉信氏が担当します。
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発作性夜間ヘモグロビン尿症 その病態解明と治療の最前線 特集分子病態の解明が進む骨髄不全症難治性貧血の診断・治療の最新動向(3)近年、次世代シークエンサーによる網羅的ゲノム解析などにより骨髄不全症についての分子病態の解明が進み、その知見が診断に反映されるようになってきた。さらに、新規治療薬が次々と登場し、これまで限られた選択肢しかなかった骨髄不全症の治療の選択肢が広がっている。ここでは「再生不良性貧血」、「骨髄異形成症候群」、「発作性夜間ヘモグロビン尿症」、「赤芽球癆」の診断と治療について、各疾患の専門家に最新の情報をもとに分かりやすく解説していただいた。(責任編集 張替秀郎)発作性夜間ヘモグロビン尿症 その病態解明と治療の最前線西村純一(大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学)2018.07.12発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、補体による溶血性貧血、血栓症、骨髄不全を3主徴とする造血幹細胞疾患である。PIGA遺伝子に後天的な変異を持つ造血幹細胞がクローン性に拡大することにより発症する。しばしば、再生不良性貧血などの骨髄不全症と合併・相互移行する。PNHの治療は、エクリズマブの登場により大きく変わり、2017年には特発性造血障害に関する調査研究班の「発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド」も改訂された。ここではPNHの最新の情報を整理する。
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骨髄異形成症候群(MDS)の治療に関する最近の話題 特集分子病態の解明が進む骨髄不全症難治性貧血の診断・治療の最新動向(2)近年、次世代シークエンサーによる網羅的ゲノム解析などにより骨髄不全症についての分子病態の解明が進み、その知見が診断に反映されるようになってきた。さらに、新規治療薬が次々と登場し、これまで限られた選択肢しかなかった骨髄不全症の治療の選択肢が広がっている。ここでは「再生不良性貧血」、「骨髄異形成症候群」、「発作性夜間ヘモグロビン尿症」、「赤芽球癆」の診断と治療について、各疾患の専門家に最新の情報をもとに分かりやすく解説していただいた。(責任編集 張替秀郎)骨髄異形成症候群(MDS)の治療に関する最近の話題臼杵憲祐(NTT東日本関東病院 血液内科)2018.07.05骨髄異形成症候群(MDS)は、無効造血による血球減少、血球異形成を特徴とする難治性の腫瘍性疾患であり、一定割合で急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)に移行する。治癒が期待できる治療は、現在のところ造血幹細胞移植のみであり、新規治療薬の登場が強く待ち望まれる。近年、次世代シークエンサーによる遺伝子解析により関係遺伝子が次々と明らかになっており、新しい分子を標的とした治療薬の開発も進んでいる。ここでは、開発中の新規治療薬の話題も含め、MDSの現在の治療と今後の展望について説明する。