血液専門医と医療関係者のための情報サイト「ヘマトパセオ」

この論文に注目!Focus On

2024年3月の注目論文

宮﨑泰司(長崎大学 原爆後障害医療研究所 所長)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2023年11月分は、宮﨑泰司氏が担当します。

ここに注目!

50歳代など比較的年齢の高い急性リンパ性白血病(ALL)患者に対する治療としては、強力化学療法が行なわれ、65歳を超えると強度を減弱させた化学療法が実施されているが、55歳を超えると治療関連毒性が高くなる。そこで55歳を超えたBCR::ABL1陰性のALL患者を対象として、寛解導入療法に古典的化学療法薬ではなくCD22に対するモノクローナル抗体とオゾガマイシンとの抗体薬物複合体であるinotuzumab ozogamicin(INO)を用いる第Ⅱ相試験が行なわれた。対象は43例(common/pre-B ALL 38例、pro-B ALL 5例)で年齢中央値64歳(56-80歳)、染色体では低2倍体/近3倍体が6例、複雑核型が5例であった。寛解導入療法としてINO+デキサメタゾンが最低2コース投与され、その後に年齢で調整された地固め療法と維持療法が実施された。その結果、全例で完全寛解(血液回復不十分例を含む)に到達し、2コース後で53%、3コース後で71%が測定可能残存病変陰性となった。追跡期間中央値2.7年の時点で1年と3年の無イベント生存割合は88%(95%CI: 79-98%)および55%(95%CI:40-71%)、全生存割合は91%(95%CI: 82-99%)と73%(95%CI: 59-87%)であった。治療開始後6カ月間の死亡例はなく、grade3以上の主な有害事象は血液学的な血球減少と肝機能障害であった。INOによる寛解導入療法と年齢調整地固め療法、維持療法の治療戦略は実施可能で、これまでより高い寛解率と生存を示しており、今後、年齢の高いALLに対する初回治療の候補となりうることを示している。