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この論文に注目!Focus On

2022年7月の注目論文(Vol. 2)

張替秀郎(東北大学大学院 医学系研究科 血液内科学分野 教授)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2022年7月分(Vol. 2)は、張替秀郎氏が担当します。

Synthetic introns enable splicing factor mutation-dependent targeting of cancer cells

Nat Biotechnol. 2022 Mar 3. doi: 10.1038/s41587-022-01224-2. Online ahead of print.

North K et al.

ここに注目!

合成イントロンは、スプライシング因子変異依存性のがん細胞に対する標的治療となる

多くのがんにおいて、スプライシング因子の変異によってもたらされるスプライシング異常が発症の原因となっている。本研究では、SF3B1変異を有するがん細胞のみでスプライシングを受け、正常細胞ではスプライシングを受けない合成イントロンを作成しその有用性について検討した。合成イントロンはherpes simplex virus–thymidine kinase(HSV–TK)に挿入され、変異細胞のみでスプライシングを受けてHSV–TKが発現するように設計された。合成イントロンを含むHSV–TK遺伝子を、SF3B1変異を有する白血病細胞、乳がん細胞、メラノーマ細胞、膵がん細胞に導入したところ、ガンシクロビルの殺細胞効果が認められた。一方で野生型細胞ではこの効果は認められなかった。さらにこの効果は、腫瘍細胞を移植したin vivoモデルにおいても確認された。この合成イントロンを用いたアプローチは、スプライシング因子変異を有する腫瘍に対する新規治療として期待される。