血液専門医と医療関係者のための情報サイト「ヘマトパセオ」

この論文に注目!Focus On

2022年8月の注目論文(Vol. 1)

前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2022年8月分(Vol. 1)は、前田嘉信氏が担当します。

ここに注目!

LFA-1・ICAM-1の経路は細胞障害活性に重要であり、移植後のGVLとGVHDにも多くの関連報告がある。造血幹細胞移植やCAR-T療法は、急性リンパ性白血病(ALL)や非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫などの血液悪性疾患に大きな治療効果を示す一方、固形腫瘍には限局的な効果にとどまっている。本論文ではCRISPRスクリーニングにより76,000を超えるライブラリーの中から、IFN-γRからのシグナル経路の脱落が、CAR-T療法への抵抗性獲得に重要であることを明らかにしている。血液悪性疾患に比べ固形腫瘍では、IFN-γRからのシグナルが、ICAM-1などの接着因子の発現上昇とCAR-T療法の効果に重要であった。一方、血液悪性疾患はCD2・LFA-3など他の経路もあるためか、固形腫瘍のようにIFN-γR経路が必須ではないのかもしれない。