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2019年4月の注目論文(Vol. 1)

宮﨑泰司(長崎大学 原爆後障害医療研究所 所長)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2019年4月分(Vol. 1)は、宮﨑泰司氏が担当します。

Oral ixazomib maintenance following autologous stem cell transplantation (TOURMALINE-MM3): a double-blind, randomised, placebo-controlled phase 3 trial.

Lancet. 393(10168):253-264

Dimopoulos MA, Gay F, Schjesvold F, Beksac M, Hajek R, Weisel KC, Goldschmidt H, Maisnar V, Moreau P, Min CK, Pluta A, Chng WJ, Kaiser M, Zweegman S, Mateos MV, Spencer A, Iida S, Morgan G, Suryanarayan K, Teng Z, Skacel T, Palumbo A, Dash AB, Gupta N, Labotka R, Rajkumar SV; TOURMALINE-MM3 study group

ここに注目!

多発性骨髄腫に対する自家末梢血幹細胞移植併用の大量化学療法では、その後の薬物による維持療法によって効果を延長できると期待されている。イキサゾミブは週1回投与される経口プロテアソーム阻害薬で、本試験では移植後の維持療法としてのイキサゾミブ(day1、8、15に投与/28日サイクル、2年間)の有効性を無作為比較試験(656名参加、3:2割付け)で検討した。その結果、イキサゾミブ群では無増悪生存期間中央値が26.5カ月、コントロール群で21.3カ月と有意に改善していた(p=0.0023)。二次がんの増加はなく、有害事象も許容できるレベルであり、本剤の移植後維持療法における有用性が示された。

Randomized comparison of low dose cytarabine with or without glasdegib in patients with newly diagnosed acute myeloid leukemia or high-risk myelodysplastic syndrome.

Leukemia. 33(2):379-389

Cortes JE, Heidel FH, Hellmann A, Fiedler W, Smith BD, Robak T, Montesinos P, Pollyea DA, DesJardins P, Ottmann O, Ma WW, Shaik MN, Laird AD, Zeremski M, O'Connell A, Chan G, Heuser M

ここに注目!

Glasdegib (Gla)はHedgehog経路の阻害薬で、本試験では無作為化第Ⅱ相試験によってGlaの急性骨髄性白血病(AML)および高リスクMDSに対する効果が検討された。通常強度の化学療法不耐容例に対して低用量シタラビン(LDAC)にGla併用を無作為割付け(2:1)し、全生存を主要評価項目として試験が実施された。132名が参加しGla併用群とLDAC単独群で、生存期間中央値はそれぞれ8.8カ月と4.9カ月(p=0.0004)、完全寛解率は17%と2.3%(p<0.05)とGla併用群で優っていた。有害事象では嘔気、食欲減少が増加していたが、今後、新たな薬剤として期待できる結果である。

Increased Ripk1-mediated bone marrow necroptosis leads to myelodysplasia and bone marrow failure in mice.

Blood. 133(2):107-120

Wagner PN, Shi Q, Salisbury-Ruf CT, Zou J, Savona MR, Fedoriw Y, Zinkel SS

ここに注目!

本論文では、necroptosisが造血細胞においてどのような働きをしているのかを検討するため、Bcl-2ファミリーのBax/Bak/Bidの三重欠損マウスを作製した。このマウスでは造血細胞のnecroptosisが亢進しており造血不全(生存期間中央値5.5カ月)を来すこと、骨髄は過形成で異形成が出現しておりMDS類似の無効造血と考えられること、necroptosisを司るRip1 kinase(Ripk1)が増加しており、Bidがcaspase-8依存性にRipk1シグナル伝達を調節していることが示された。マウスモデルを用いて造血細胞におけるnecroptosis異常がMDS様の造血に繋がることが明らかにされ、MDSでのnecroptosisの役割に興味が持たれる。