血液専門医と医療関係者のための情報サイト「ヘマトパセオ」

この論文に注目!Focus On

2019年3月の注目論文

前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)

会員限定コンテンツになりました。すべてお読みいただくには会員登録をお願いします。

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2019年3月分は、前田嘉信氏が担当します。

Unrelated donor vs HLA-haploidentical α/β T-cell- and B-cell-depleted HSCT in children with acute leukemia.

Blood. 132(24):2594-2607

Bertaina A, Zecca M, Buldini B, Sacchi N, Algeri M, Saglio F, Perotti C, Gallina AM, Bertaina V, Lanino E, Prete A, Barberi W, Tumino M, Favre C, Cesaro S, Del Bufalo F, Ripaldi M, Boghen S, Casazza G, Rabusin M, Balduzzi A, Fagioli F, Pagliara D, Locatelli F

ここに注目!

以前からT細胞除去でハプロ移植をする試みがあったが、感染症が増加し十分な成績がこれまで得られていなかった。本研究ではαβT細胞とB細胞を除去する、つまりγδ T細胞やNK細胞をグラフトに残してハプロ移植をしたαβHaplo(n=98)の成績を、HLA一致非血縁(MUD)n=127、HLA不一致非血縁(MMUD)n=118と後方視的に比較している。GradeⅡ-ⅣとⅢ-Ⅳの急性GVHDは、MUD 35%、6%、MMUD 44%、18%に比べαβHaplo 16%、0%と有意に低かった。さらにαβHaploは、慢性GVHD 6%、治療関連死亡9% とMMUDと比べ有意に低かった。5年無病生存率もαβHaplo 62%はMUD 67%と同等、MMUD 55%に比べ優位に良好であった。γδT細胞とNK細胞を残すとGVHDはほとんど出ず、再発が増加することもなくMUDと同等の成績であった。煩雑な移植であるが、一つの移植の選択肢と認知されるかもしれない。