血液専門医と医療関係者のための情報サイト「ヘマトパセオ」

学会レポートCongress Report

ASH2020注目テーマ 「日本の臨床試験」#3125ASH2020では、日本人を対象としたわが国の研究結果も報告された。ここでは初発慢性期の成人慢性骨髄性白血病に対するチロシンキナーゼ阻害薬による分子遺伝学的完全寛解の達成率の検討結果、急性骨髄性白血病におけるFLT3変異の次世代シークエンサーによる包括的解析結果、ASXL1変異と低リスクMDS患者におけるダルベポエチンαへの反応不良の関連についての検討結果を紹介する。

ASXL1変異を有する低リスクMDSでは
貧血に対するダルベポエチンの反応性が低い ASXL1 Mutations Predict a Poor Response to Darbepoetin Alfa in Anemic Patients with Low-Risk MDS: A Multicenter, Phase II Study (#3125)

花本仁(近畿大学 奈良病院)

低リスク骨髄異形成症候群(MDS)の貧血に対するダルベポエチンα(DA)による治療への反応に、ASXL1遺伝子変異が影響を及ぼしていることが明らかになった。これは、低リスクMDS患者の貧血に対するDAの効果と遺伝子変異の関連を調べた多施設非盲検第Ⅱ相試験の結果。報告した近畿大学奈良病院の花本仁氏は「16週間のDA治療により、1年後の無増悪生存率が81.7%に達することも分かった。DAによる貧血治療の不応例について、分子病理学的に予想できる可能性が示された」と述べた。