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学会レポートCongress Report

ASH2020注目テーマ 「日本の臨床試験」#1031ASH2020では、日本人を対象としたわが国の研究結果も報告された。ここでは初発慢性期の成人慢性骨髄性白血病に対するチロシンキナーゼ阻害薬による分子遺伝学的完全寛解の達成率の検討結果、急性骨髄性白血病におけるFLT3変異の次世代シークエンサーによる包括的解析結果、ASXL1変異と低リスクMDS患者におけるダルベポエチンαへの反応不良の関連についての検討結果を紹介する。

AMLにおけるFLT3変異の包括的な遺伝子解析で
新たな治療標的の発見の可能性 Genomic Analysis of FLT3 Mutations in a Comprehensive NGS Multicenter Study of AML: HM-SCREEN-Japan 01 (#1031)

福島健太郎(大阪大学大学院 医学系研究科)

急性骨髄性白血病(AML)の遺伝子変異のうち、FLT3について、次世代シークエンサーを用いた包括的遺伝子解析を行なった結果、FLT3阻害薬の新たな治療標的になる可能性のある遺伝子変異が見出された。これは、包括的遺伝子解析プロファイル検査であるHematologic Malignancies(HM)-SCREEN-Japan 01の一つであるFoundation One Heme(F1H)パネルを用い、AMLにおけるがん関連ゲノム変化の頻度と特徴の評価を目的とした多施設共同研究の結果。報告した大阪大学の福島健太郎氏は「AML治療では、包括的遺伝子解析プロファイル検査が実用的かつ有効であることが示された」と述べた。