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2021年5月の注目論文

張替秀郎(東北大学大学院 医学系研究科 血液・免疫病学分野 教授)

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血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2021年5月分は、張替秀郎氏が担当します。

ここに注目!

生体外でのサル胚とヒト多能性幹細胞のキメラ作製

再生医療を目的とした異種動物とヒト幹細胞のキメラ作製はこれまでマウスや豚で行なわれてきたが、今回の研究は遺伝的に近接したサルの胚とヒト幹細胞のキメラ作製である。キメラはヒト幹細胞をサルの胚盤胞に注入することで作製された。day 9で半分以上の、day 13で1/3以上のキメラでヒト幹細胞由来細胞が観察され、ヒト幹細胞由来細胞は胚盤葉下層(hypoblast)、胚盤葉上層(epiblast)まで分化したことが確認された。今回の研究は生体外の研究であるが、得られた結果は少なくとも非ヒト霊長類とヒトとのキメラが作製可能であること、さらに胚を子宮に戻すことでキメラ個体を作製し得る可能性を示唆している。このような研究の倫理的妥当性について早急に議論を進めるべきであることは言うまでもない。