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この論文に注目!Focus on

2021年6月の注目論文(Vol. 1)

前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)

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血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2021年6月分(Vol. 1)は、前田嘉信氏が担当します。

Fecal microbiota diversity disruption and clinical outcomes after auto-HCT: a multicenter observational study

Blood. 137(11):1527-1537

Khan N, Lindner S, Gomes ALC, Devlin SM, Shah GL, Sung AD, Sauter CS, Landau HJ, Dahi PB, Perales MA, Chung DJ, Lesokhin AM, Dai A, Clurman A, Slingerland JB, Slingerland AE, Brereton DG, Giardina PA, Maloy M, Armijo GK, Rondon-Clavo C, Fontana E, Bohannon L, Ramalingam S, Bush AT, Lew MV, Messina JA, Littmann E, Taur Y, Jenq RR, Chao NJ, Giralt S, Markey KA, Pamer EG, van den Brink MRM, Peled JU

ここに注目!

近年の研究で、同種移植後に腸内細菌叢の多様性が低下し、移植成績と相関することが明らかになっている。自家移植においても、同種移植と同様な抗生剤の使用と栄養面での変化が起こるため、腸内細菌叢に影響すると考えられる。本研究では2施設から534人の自家移植患者の便が解析された。その結果、自家移植後も同種移植と同様な腸内細菌叢の多様性低下が観察された。さらに、疾患や病期で調整後も、腸内細菌叢の多様性とPFSに相関関係が認められた。自家移植による抗腫瘍効果は、前治療の大量化学放射線療法がメインと考えられるが、移植片のT細胞による抗腫瘍効果も報告されており、自家移植後の免疫応答も存在すると考えられる。今回の研究は、因果関係が証明されていない観察研究ではあるが、自家移植後であっても腸内細菌叢の多様性を再構築することにより、免疫反応を惹起できる可能性を示唆している。