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2021年2月の注目論文

前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)

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血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2021年2月分は、前田嘉信氏が担当します。

Dipeptidyl Peptidase 4 Inhibition for Prophylaxis of Acute Graft-versus-Host Disease

N Engl J Med. 384(1):11-19

Farag SS, Abu Zaid M, Schwartz JE, Thakrar TC, Blakley AJ, Abonour R, Robertson MJ, Broxmeyer HE, Zhang S

ここに注目!

CD26はT細胞の表面分子でDipeptidyl peptidase 4(DPP-4)酵素を含むT細胞共刺激分子である。マウスモデルでCD26の抑制はGVLを保ちつつGVHDを抑制することがわかっている。本研究は、36人のHLA一致ドナーからの骨髄破壊的PBSCT後にGVHD予防としてシロリムス・タクロリムスに追加してDPP-4阻害剤を投与したPⅡ試験である。その結果、急性GVHD grade Ⅱは5%(95%CI 0-16%)、grade Ⅲは3%(95%CI 0-12%)と非常に低頻度であった。1年の再発率も26%(95%CI 13-41%)と増加しておらず、毒性も特に増えていなかった。無作為化比較試験ではないが、従来のシロリムス・タクロリムスに比べ明らかに低い急性GVHD頻度であり、これまでの新規薬剤の中でも特に低い。無作為化比較試験によるGVHDとGVLに対する検証がとても待たれる。