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2021年4月の注目論文(Vol. 2)

坂田(柳元)麻実子(筑波大学 医学医療系 血液内科 准教授)

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血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2021年4月分(Vol. 2)は、坂田(柳元)麻実子氏が担当します。

Genome Sequencing as an Alternative to Cytogenetic Analysis in Myeloid Cancers

N Engl J Med. 384(10):924-935

Eric J Duncavage, Molly C Schroeder, Michele O’Laughlin, Roxanne Wilson, Sandra MacMillan, Andrew Bohannon, Scott Kruchowski, John Garza, Feiyu Du, Andrew E O Hughes, Josh Robinson, Emma Hughes, Sharon E Heath, Jack D Baty, Julie Neidich, Matthew J Christopher, Meagan A Jacoby, Geoffrey L Uy, Robert S Fulton, Christopher A Miller, Jacqueline E Payton, Daniel C Link, Matthew J Walter, Peter Westervelt, John F DiPersio, Timothy J Ley, David H Spencer

ここに注目!

AML/MDS患者の検体について、全ゲノムシーケンス解析(注:ゲノム全体を調べる方法、以後は「全ゲノム解析」と称する)をクリニカルシーケンス(注:ゲノム解析の結果を診療に還元する目的で行なうこと)として行なえるかどうかについて調べた研究。全ゲノム解析は全263例について行なわれ、このうち235例では染色体分析の結果が得られ、全ゲノム解析結果と比較された。全ゲノム解析では、染色体分析で見つかった転座や増幅・欠失はすべて検出することができ、加えて染色体分析では見つからなかったゲノム異常も同定され、一部は予後予測カテゴリを変更することとなった。注目すべき点は、117例については前向きに検体採取が行われ、検体採取から結果レポートまで5日間という極めて短期間に実現したという点である。先のBEAT AML Master Trial(Burd, et al. Nat Med 2020)では初発AML患者を対象にターゲットシーケンス解析(注:高頻度かつ重要と考えられる遺伝子を選んで解析すること)が行なわれ、結果を7日間で返却かつこの結果に基づいて治療を選択することで予後が改善したという前向き研究の結果が報告された。本研究は、将来的には、全ゲノム解析によってクリニカルシーケンスが実現できる可能性が示されたという点で、極めて重要な研究である。