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2020年10月の注目論文(Vol. 1)

張替秀郎(東北大学大学院 医学系研究科 血液・免疫病学分野 教授)

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血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2020年10月分(Vol. 1)は、張替秀郎氏が担当します。

Chromosomal alterations among age-related haematopoietic clones in Japan

Nature. 584(7819):130-135

Terao C, Suzuki A, et al.

ここに注目!

日本における加齢に関連する造血クローンでの染色体変化

加齢とともに増加する血液細胞のクローン性増殖が、血液悪性腫瘍や心臓疾患発症リスクと関連することが報告されている。しかしながら、人種間での違いについては明らかになっていない。本研究では日本人のバイオバンクコホートを対象とした血液細胞の染色体の変化(loss、LOH、gain)を指標に造血細胞のクローン性変化を解析した。その結果、90歳以上では約35%以上の人が、染色体変化の体細胞モザイクを保有することが明らかとなった。イギリス人と比較したところ、日本人ではTCRの体細胞モザイクが多く、BCRの体細胞モザイクが少なかった。この他、CLLで認められる染色体部位の体細胞モザイクが日本人に少なくイギリス人に多いことが明らかとなった。このことは、前がん段階で人種差が既に存在していることを意味している。さらに体細胞モザイクと死亡率の関連を調べたところ、体細胞モザイクを有する場合、全死亡率が10%上昇することが明らかとなった。この結果は、加齢に伴うゲノム変化が人種によって異なることを示しており、東アジアにおける加齢に伴うゲノム変化と疾患発症との関連を理解するうえで重要と思われる。