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この論文に注目!Focus On

2017年10月の注目論文

柴山浩彦(大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学 准教授)

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血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2017年1​0​月は、​柴山浩彦​氏が担当、2017年9月の論文の中から紹介します。

Updated analysis of CALGB (Alliance) 100104 assessing lenalidomide versus placebo maintenance after single autologous stem-cell transplantation for multiple myeloma: a randomised, double-blind, phase 3 trial.

Lancet Haematol. 4(9):e431-e442

Holstein SA, Jung SH, Richardson PG, Hofmeister CC, Hurd DD, Hassoun H, Giralt S, Stadtmauer EA, Weisdorf DJ, Vij R, Moreb JS, Callander NS, van Besien K, Gentile TG, Isola L, Maziarz RT, Bashey A, Landau H, Martin T, Qazilbash MH, Rodriguez C, McClune B, Schlossman RL, Smith SE, Hars V, Owzar K, Jiang C, Boyd M, Schultz C, Wilson M, Hari P, Pasquini MC, Horowitz MM, Shea TC, Devine SM, Linker C, Anderson KC, McCarthy PL

ここに注目!

自家移植後のレナリドミドによる維持療法については、2012年のNEJM誌にアメリカのCALGBとフランスのIFMからの研究結果が同時に発表され注目された。その当時の結果では、どちらの研究においてもレナリドミドの維持療法によってPFSは有意に延長したが、OSについてはCALGBの報告では延長がみられたが、IFMでは差がないという結果であった。
今回の論文は、CALGB試験の長期フォローアップ(中央値91ヵ月)の結果が報告されている。それによると、試験開始後18ヵ月時点で盲検化が解除され、プラセボが投与されてPDとなっていない患者のうち67%が実薬のレナリドミドを服薬したにも関わらず、ITT解析においてPFS、OSともにレナリドミド投与群が有意に優れていることが示された。
この結果から、自家移植後のレナリドミド維持療法は標準治療とみなされると結論づけられている。