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特集造血幹細胞移植をめぐる最近の話題 2022(4)同種造血幹細胞移植における移植片対宿主病(graft-versus-host disease:GVHD)は移植の成否を分ける重要な合併症であり、近年、急性GVHDと慢性GVHDでは病態が異なることなども分かってきている。そして、GVHD予防や感染症対策などの進歩によっても、移植成績の向上がもたらされている。ここでは、同種造血幹細胞移植の最近の話題として急性GVHDの病態、GVHD予防における移植後シクロホスファミド、急性GVHDの治療、慢性GVHDの診断と治療、移植後の感染症管理の診断と治療という5つのテーマを取り上げ、それぞれ橋本大吾先生、杉田純一先生、村田誠先生、稲本賢弘先生、森毅彦先生にご解説いただいた。(責任編集 前田嘉信)

慢性GVHDの診断・治療の最新知見
重症度の迅速な判定と長期目標に向けた治療継続を

稲本賢弘(国立がん研究センター中央病院 造血幹細胞移植科)

慢性移植片対宿主病(GVHD)は、同種造血幹細胞移植後の30〜50%の患者に発症し、自己免疫疾患に類似して様々な臓器を侵襲する晩期合併症である。慢性GVHDの診断と重症度評価を標準化するために、2005年にNIH国際基準が策定され、2014年に改定されたことにより慢性GVHDの治療効果判定法が明確になった。一方、慢性GVHDの病態には典型的なT細胞に加えて、制御性T細胞(Treg)、B細胞、マクロファージなどの多くの免疫細胞が関与することが明らかになり、慢性GVHDの病態を標的とした薬剤の開発が進んでいる。ここでは、慢性GVHDの診断と治療をめぐる最新の知見を紹介する。