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特集造血幹細胞移植をめぐる最近の話題移植後の患者の生活をいかに改善させるか(2)わが国の造血幹細胞移植数は、自家と同種を合わせ年間約5,500件。造血幹細胞ソースで臍帯血が大きく増え、2010年頃よりHLA半合致移植(ハプロ移植)も著しく増加してきた。移植医療の進歩に伴い、移植後の生存率は年々向上している一方で、移植後の晩期合併症対策やQOLの維持など、新たな課題もうまれている。ここでは、移植後シクロホスファミドを用いたHLA半合致移植の可能性、慢性GVHDの最新の病態研究と治療法、移植患者の長期フォローアップの重要性と課題、小児科での骨髄非破壊的移植とHLA半合致移植の意義について、各分野の専門家に解説していただいた。(責任編集 前田嘉信)

慢性GVHDの病態生理と新規治療法

松岡賢市(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学)

慢性GVHDは、移植後長期生存患者のQOLを阻害し、非再発死亡のリスクを高める最も重要な合併症である。比較的均一な急性GVHDと異なり、自己免疫疾患に類似する多彩な臨床症状を呈する慢性GVHDについては、日常診療で症状への対応に難渋することも少なくない。2017年にNIHワーキンググループから病態生理についてのコンセンサスレポートが示された。現在、病態に基づく治療法の臨床開発が急ピッチで進んでおり、近い将来に治療選択肢の拡充が期待されている。ここでは、慢性GVHDに関する最新の病態研究を整理し、これを標的とする治療法の開発の現状について概説する。