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最新の血液疾患解説Comments On Hematology

特集B細胞リンパ腫に関する最近の話題(2)B細胞リンパ腫の患者数は、悪性リンパ腫全体の約7割を占め、血液内科医が診療する機会が多い疾患群であろう。ここでは、B細胞リンパ腫に対する新しい話題に焦点を当て、それぞれの専門家に解説していただいた。まず、WHO第5版とICCに関する解説、次に2019年に初めて国内で承認され実臨床で少しずつ広がりを見せるCAR-T療法について実臨床での経験を含めた解説、そして、DLBCLの新規治療であるPola-R-CHP療法と現在開発中の治療法について。最後は、近年、BTK阻害薬などの新規治療の開発が進んでいるマントル細胞リンパ腫についてである。いずれも血液内科医として知っておくべき重要なトピックスであろう。(責任編集:伊豆津宏二)

悪性リンパ腫に対するCAR-T療法
早期再発LBCLに加え、FLでも治療選択肢に

蒔田真一(国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科)

キメラ抗原受容体(CAR)を発現させた遺伝子改変T細胞を用いるCAR-T療法が、わが国では2019年に保険収載された。悪性リンパ腫では、CD19を標的としたCAR-T療法が再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)などのB細胞リンパ腫に適用となっている。CAR-T療法の治療成績は、それまでの再発・難治性DLBCLに対する治療に比して群を抜いて高いが一方で、実臨床での広がりには様々な障壁もある。ここではDLBCLを中心にB細胞リンパ腫に対するCAR-T療法の現状と課題、今後の可能性について概説する。