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最新の血液疾患解説Comments On Hematology

特集B細胞リンパ腫に関する最近の話題(3)B細胞リンパ腫の患者数は、悪性リンパ腫全体の約7割を占め、血液内科医が診療する機会が多い疾患群であろう。ここでは、B細胞リンパ腫に対する新しい話題に焦点を当て、それぞれの専門家に解説していただいた。まず、WHO第5版とICCに関する解説、次に2019年に初めて国内で承認され実臨床で少しずつ広がりを見せるCAR-T療法について実臨床での経験を含めた解説、そして、DLBCLの新規治療であるPola-R-CHP療法と現在開発中の治療法について。最後は、近年、BTK阻害薬などの新規治療の開発が進んでいるマントル細胞リンパ腫についてである。いずれも血液内科医として知っておくべき重要なトピックスであろう。(責任編集:伊豆津宏二)

DLBCLの治療パラダイムが変化
新規治療の開発の現状と今後の展望

山内寛彦(がん研究会有明病院 血液腫瘍科)

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する初回治療は、1980年代のCHOP療法に引き続き、2000年初頭にはR-CHOP療法が標準治療となったが、近年、多くの新規治療法の開発により治療パラダイムが大きく変わろうとしている。本稿では、未治療DLBCLに対するPola-R-CHP療法や進行中の臨床第Ⅲ相試験、再発・難治縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫(PMBL)に対するペムブロリズマブや、再発・難治性DLBCLに対する二重特異性抗体など、新規治療薬の臨床試験の状況と今後の展望について概説する。