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最新の血液疾患解説Comments On Hematology

特集B細胞リンパ腫に関する最近の話題(1)B細胞リンパ腫の患者数は、悪性リンパ腫全体の約7割を占め、血液内科医が診療する機会が多い疾患群であろう。ここでは、B細胞リンパ腫に対する新しい話題に焦点を当て、それぞれの専門家に解説していただいた。まず、WHO第5版とICCに関する解説、次に2019年に初めて国内で承認され実臨床で少しずつ広がりを見せるCAR-T療法について実臨床での経験を含めた解説、そして、DLBCLの新規治療であるPola-R-CHP療法と現在開発中の治療法について。最後は、近年、BTK阻害薬などの新規治療の開発が進んでいるマントル細胞リンパ腫についてである。いずれも血液内科医として知っておくべき重要なトピックスであろう。(責任編集:伊豆津宏二)

B細胞リンパ腫分類の今後の方向性
WHO第5版とICCの“最大公約数”の理解が重要

加留部謙之輔(名古屋大学大学院 医学系研究科 高次医用科学臓器病態診断学)

悪性リンパ腫の分類に広く用いられている世界保健機関(WHO)分類の第5版が2022年6月にウェブ公表された。一方同年9月に、WHO分類の旧版の編集者たちによる、ICC(International Consensus Classification)という別分類が公表されたことで話題となっている。2つの分類の共通点、相違点を踏まえた上で、今後、リンパ腫の分類がどう変わるのかについて概説する。