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特集急性白血病の新規治療分子標的薬が続々登場、CAR-T療法の開発も進む(3)急性骨髄性白血病(AML)の治療の基本骨格は長年変わらなかったが、わが国でもFLT3阻害薬、IDH1/2阻害薬、BCL2阻害薬などが導入されつつあり、いよいよAML治療のパラダイムが変わろうとしている。急性リンパ性白血病(ALL)でも、抗体医薬のブリナツモマブが再発・難治性B細胞性急性リンパ性に対して承認され、新薬の開発が進んでいる。さらにAMLに対するわが国独自のCAR-T療法の開発も進められている。このように、これまでの停滞を一気に解消するかのように多くの薬剤、抗体薬、細胞療法が急性白血病に投入されている。ここでは、AML、ALL、CAR-T療法の各分野の専門家に、急性白血病治療の最前線について解説してもらった。(責任編集 宮﨑泰司)

AMLに対するIDH1/2阻害薬
いずれもCR率20%以上、ORR40%以上

市川幹(獨協医科大学 内科学(血液・腫瘍))

急性骨髄性白血病(AML)発症に関与するとされる遺伝子変異の一つであるIDH1/2の変異は、機能獲得型の変異である。新たな酵素活性の獲得により、DNAを脱メチル化する酵素TET2の機能を阻害することでDNAのメチル化が蓄積し、細胞の分化異常につながると考えられている。そして、IDH1/2変異はAMLに対する治療標的として創薬の研究が進み、2017年にIDH2阻害薬のenasidenib、2018年にIDH1阻害薬のivosidenibがそれぞれ米国食品医薬品局(FDA)から承認された。本稿ではこれらのIDH1/2阻害薬について概説する。