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特集急性白血病の新規治療分子標的薬が続々登場、CAR-T療法の開発も進む(4)急性骨髄性白血病(AML)の治療の基本骨格は長年変わらなかったが、わが国でもFLT3阻害薬、IDH1/2阻害薬、BCL2阻害薬などが導入されつつあり、いよいよAML治療のパラダイムが変わろうとしている。急性リンパ性白血病(ALL)でも、抗体医薬のブリナツモマブが再発・難治性B細胞性急性リンパ性に対して承認され、新薬の開発が進んでいる。さらにAMLに対するわが国独自のCAR-T療法の開発も進められている。このように、これまでの停滞を一気に解消するかのように多くの薬剤、抗体薬、細胞療法が急性白血病に投入されている。ここでは、AML、ALL、CAR-T療法の各分野の専門家に、急性白血病治療の最前線について解説してもらった。(責任編集 宮﨑泰司)

再発・難治性B-ALL治療における
ブリナツモマブへの期待と課題

宮本敏浩(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科(第一内科))

急性リンパ性白血病(ALL)に対する抗体医薬の開発が進んでおり、特にこれまで予後不良であった再発・難治性のALLに対して治療効果の高い薬剤が登場している。そのなかで、2018年11月に日本で発売となったBiTE抗体であるブリナツモマブについて、そのプロファイルと有効性・安全性について解説する。