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学会レポートCongress Report

JSH2020レポート④ シンポジウム1「造血器疾患における細胞・遺伝子治療の進歩第82回日本血液学会学術集会(会長:長崎大学原爆後障害医療研究所 原爆・ヒバクシャ医療部門 血液内科学研究分野(原研内科)教授・宮﨑泰司氏)が、2020年10月10日から国立京都国際会館を拠点にWEB開催された。全てのプログラムが11月8日まで約1カ月にわたりオンデマンドで視聴できるという、WEBならではの特長を生かしての学術集会となった。テーマは「血液学―多様性の追求」。オープニングセレモニーでは、宮﨑氏がこのテーマに込めた思いについて「基礎から臨床まで連続していること、多職種が関わる領域であること、若手からベテランまで関わることなど、多種多様な人材や研究テーマが血液学を発展させ、未来を切り拓く」と述べた。

CAR-T細胞療法やiPS細胞療法における課題を克服すべく
ユニバーサルな細胞や低コスト化への研究が進む

造血器腫瘍の治療の主役に細胞医薬が登場しており、その代表であるCAR-T細胞療法では既存の低分子薬や抗体薬を超える深い奏効の実現が期待されている。一方で、アロ免疫による長期生着の難しさ、標的抗原の不足、ウイルスベクターの使用など複雑な工程を経ることから高額な治療法にならざるを得ないことやサイトカイン放出症候群などの副作用の制御が課題となっている。シンポジウム1ではこうした課題を克服するための最新の研究成果が講演された。