2025年5月の注目論文（Vol. 2）
伊豆津宏二（国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科 科長）
2025.05.22
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2025年5月分（Vol. 2）は、伊豆津宏二氏が担当します。
Acalabrutinib Plus Bendamustine-Rituximab in Untreated Mantle Cell Lymphoma
J Clin Oncol. 2025 May 1:101200JCO2500690. doi: 10.1200/JCO-25-00690. Online ahead of print.
Michael Wang, David Salek, David Belada, Yuqin Song, Wojciech Jurczak, Brad S Kahl, Jonas Paludo, Michael P Chu, Iryna Kryachok, Laura Fogliatto, Chan Y Cheah, Marta Morawska, Juan-Manuel Sancho, Yufu Li, Caterina Patti, Cecily Forsyth, Jingyang Zhang, Robin Lesley, Safaa Ramadan, Simon Rule, Martin Dreyling; ECHO investigators
ここに注目！
本論文は、未治療マントル細胞リンパ腫（MCL）に対して、ベンダムスチン・リツキシマブ（BR）療法へ第2世代BTK阻害薬アカラブルチニブを追加することの有効性と安全性を検証した、プラセボ対照無作為化第III相試験の主解析結果の報告である。経過観察期間約50カ月の時点で主要評価項目である無増悪生存期間の有意な延長がアカラブルチニブ併用群で確認された。全生存期間においては有意差が示されなかったものの、アカラブルチニブ併用群の生存曲線は良好な傾向を示した。また、有害事象による死亡の発生割合に大きな群間差が認められなかった点も特徴の一つである。この試験の結果を受けて、BR+アカラブルチニブ療法は未治療MCLに対する治療法として米国食品医薬品局（FDA）により承認された。日本からも複数の施設が本試験に参加しており、国内での承認も今後期待される。