2026年7月の注目論文
宮﨑泰司(日本赤十字社 長崎原爆病院 院長)
2026.07.09
血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2026年7月分は、宮﨑泰司氏が担当します。
All-Oral Treatment of Newly Diagnosed Acute Myeloid Leukemia.
N Engl J Med. 2026 June 4; 394(21):2107-2116. doi: 10.1056/NEJMoa2510223
Roboz GJ, Zeidan AM, Mannis GN, Montesinos P, Arnan M, Savona MR, Odenike O, McCloskey JK, Amin HV, Fathi AT, Bernal Del Castillo T, Rodriguez-Macias G, Liesveld JL, Im AP, Cerny J, Gentile TC, Oganesian A, Chan D, Wan Y, Dijkstra M, Keer HN, Griffiths EA, DiNardo CD
ここに注目!
高齢者など強力化学療法が適応とならない急性骨髄性白血病(AML)患者に対しては、アザシチジン(AZA)またはデシタビン(DEC)とベネトクラクス(VEN)の併用療法が標準治療となっている。AZAやDECは体内でシチジン脱アミノ化酵素によって不活化されるが、セダズリジン(Ced)はその阻害薬である。DECとCedの合剤は経口投与で静脈投与のDECと遜色ない血中濃度を維持でき、欧米ではAML治療薬として使用されている。AMLに対するDEC/Ced合剤とVENとの併用経口治療について、第I/II相非盲検多施設共同非ランダム化試験が実施され、有用性などが検討された。
75歳以上、または強力化学療法が適応とならない新規AML患者を対象に、経口DEC/Ced+VEN併用療法が行われた。第I相では骨髄抑制が認められ、それを軽減するために第IIb相では骨髄芽球消失後の投与スケジュールの調整が推奨された。主要評価項目は、第2サイクル5および15日目(第I, IIa相)における、DEC/Ced併用または非併用時のVENの0~24時間における血中濃度曲線下面積および最大血中濃度(薬物相互作用の指標)、ならびに完全奏効(第IIa, IIb相)であった。
189名の患者が登録された(第I相30名、第IIa相58名、第IIb相101名)。DEC/CedとVENの間には薬物相互作用は認められず、第IIb相試験において完全奏効割合は47%(95% CI:36~57%)、完全奏効または不完全な血液学的回復を伴う完全奏効を示した患者は63%(95% CI:53~73%)、全生存期間の中央値は15.5カ月(95% CI:7.6~推定不能)であった。第IIb相試験での主なグレード3以上の有害事象は、貧血(30%の患者)、好中球減少症(26%)、発熱性好中球減少症(25%)。死亡率は30日時点で3%、60日時点で10%と許容できるものであった。 AMLに対する経口治療の可能性を示した試験として新たな方向性を示していると考えられる。