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この論文に注目!Focus On

2023年4月の注目論文(Vol. 2)

木崎昌弘(埼玉医科大学総合医療センター 血液内科 客員教授)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2023年4月分(Vol. 2)は、木崎昌弘氏が担当します。

Ide-cel or Standard Regimens in Relapsed and Refractory Multiple Myeloma

N Engl J Med. 2023 Feb 10. doi: 10.1056/NEJMoa2213614. Online ahead of print.

Rodriguez-Otero P, Ailawadhi S, Arnulf B, Patel K, Cavo M, Nooka AK, Manier S, Callander N, Costa LJ, Vij R, Bahlis NJ, Moreau P, Solomon SR, Delforge M, Berdeja J, Truppel-Hartmann A, Yang Z, Favre-Kontula L, Wu F, Piasecki J, Cook M, Giralt S.

ここに注目!

現在の多発性骨髄腫の治療の主体は3剤併用レジメンで、初発時よりダラツムマブを中心とした治療がなされている。この結果、3剤(ダラツムマブ、プロテアソーム阻害薬、IMiDs)耐性症例の治療が問題となっている。本論文は、2-4レジメンの前治療を受けた再発・難治性多発性骨髄腫に対して、BCMAを標的とするCAR-T細胞療法(idecabtagene vicleucel: ide-cel)と標準治療を比較した非盲検無作為化第III相試験(KarMMa-3試験)の結果である。この試験には386例が登録され、ide-cel群254例、標準治療群132例の2:1に割り付けられた。対象症例の66%が3剤抵抗性であり、95%がダラツムマブ抵抗性であった。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、標準治療群4.4カ月に対しide-cel群13.3カ月と有意にide-cel群のPFSが延長した(HR: 0.49, p<0.001)。奏効割合(PR以上)は標準治療群42%、ide-cel群71%であり、CRは各々5%、39%とide-cel群で高かった。Grade 3以上の有害事象はide-cel群で93%に認められ、サイトカイン放出症候群(CRS)は88%(Grade 3以上 5%)、神経毒性は15%(Grade 3以上 3%)に認められた。我が国では、多発性骨髄腫に対するCAR-T細胞療法が実施可能な施設は限られてはいるものの、ダラツムマブを含む3剤耐性症例が徐々に増加している現状においてide-celの有効性が示されたことの意義は大きい。全生存期間(OS)については、有意差は明らかでなく、対象症例は少ないもののPFSが24カ月以上の長期になると標準治療と重なってくることからも、長期の治療成績をどのように維持するのかが問題であろう。