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この論文に注目!Focus On

2022年10月の注目論文(Vol. 1)

伊豆津宏二(国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科 科長)

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血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2022年10月分(Vol. 1)は、伊豆津宏二氏が担当します。

Lisocabtagene maraleucel versus standard of care with salvage chemotherapy followed by autologous stem cell transplantation as second-line treatment in patients with relapsed or refractory large B-cell lymphoma (TRANSFORM): results from an interim analysis of an open-label, randomised, phase 3 trial

Lancet. 399(10343):2294-2308

Kamdar M, Solomon SR, Arnason J, Johnston PB, Glass B, Bachanova V, Ibrahimi S, Mielke S, Mutsaers P, Hernandez-Ilizaliturri F, Izutsu K, Morschhauser F, Lunning M, Maloney DG, Crotta A, Montheard S, Previtali A, Stepan L, Ogasawara K, Mack T, Abramson JS; TRANSFORM Investigators.

ここに注目!

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)のセカンドラインの患者のうち、初回治療中の進行例と完全奏効後1年以内の再発例を対象として、CD19標的CAR-T療法と従来の標準治療(多剤併用サルベージ化学療法後に自家造血幹細胞移植併用大量化学療法を行なう)とを比較する第Ⅲ相試験の一つで、liso-celを用いた試験である。以前紹介した、axi-celを用いたZUMA-7試験(NEJM 2022)と同様にCAR-T療法の無イベント生存期間が優れているという結果であった。この試験では標準治療群に割り付けられた患者でも標準治療が奏効しない場合、CAR-T療法にクロスオーバーすることが可能であった。全生存(OS)曲線はCAR-T療法群が上にあるようにみえるが、この解析の時点ではOSに有意な差はみられなかった。セカンドラインでのCAR-T療法の評価はOSに対する影響の大きさによって変わってくるかもしれない。