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この論文に注目!Focus On

2021年9月の注目論文(Vol. 1)

張替秀郎(東北大学大学院 医学系研究科 血液・免疫病学分野 教授)

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血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2021年9月分(Vol. 1)は、張替秀郎氏が担当します。

ChCD8+ T cells contribute to survival in patients with COVID-19 and hematologic cancer.

Nature Medicine. 27. 1280–1289. 2021

Bange EM T, et al.

ここに注目!

CD8陽性T細胞がCOVID-19に感染した血液がん患者の生存に寄与する

担癌患者はCOVID-19感染症において高い死亡率を呈することが知られているが、その臨床的な帰結を規定する免疫学的パラメーターは明らかになっていない。今回、COVID-19感染症によって入院した担癌患者を解析したところ、血液がん患者の死亡率が固形がんの患者に比べて高かった。固形がん患者の免疫学的形質は非がん患者のそれと変わりなかったが、血液がん患者においては液性免疫の低下が認められた。その中でCD8陽性T細胞の数が多い場合は、抗CD20抗体治療を受けた患者においても生存率が改善していた。これらの結果は、液性免疫が限られた血液がん患者においてもワクチンに対するCD8陽性T細胞の反応があれば、COVID-19感染症に対して防御機構を付与し得る可能性を示唆している。