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2020年11月の注目論文(Vol. 2)

木崎昌弘(埼玉医科大学総合医療センター 血液内科 教授)

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血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2020年11月分(Vol. 2)は、木崎昌弘氏が担当します。

IKAROS and CK2 regulate expression of BCL-XL and chemosensitivity in high-risk B-cell acute lymphoblastic leukemia

Blood. 136(13):1520-1534

Song C, Ge Z, Ding Y, Tan BH, Desai D, Gowda K, Amin S, Gowda R, Robertson GP, Yue F, Huang S, Spiegelman V, Payne JL, Reeves ME, Gurel Z, Iyer S, Dhanyamraju PK, Xiang M, Kawasawa YI, Cury NM, Yunes JA, McGrath M, Schramm J, Su R, Yang Y, Zhao Z, Lyu X, Muschen M, Payne KJ, Gowda C, Dovat S

ここに注目!

B-ALLに対する分子基盤に基づく新たな治療の可能性を示したエキサイティングな論文である。腫瘍抑制分子IKAROSは、BCL2L1遺伝子(コードするタンパクはBCL-XL)の転写を抑制性に制御することから、IKAROSが欠損したALLでは細胞死抑制分子BCL-XLの発現が増加する。本論文では、その分子作用機構について検討し、ALLにおいてはCK (casein kinase) Ⅱが高発現しており、CKはIKAROSをリン酸化することにより、BCL2L1遺伝子プロモーター領域へのIKAROSの結合を抑制し、HDAC1をリクルートすることでBCL-XLの発現を増加させることを明らかにした。このことは、B-ALLにおけるドキソルビシン抵抗性に関与しており、CK阻害薬によりALLでは薬剤感受性が回復し、さらにドキソルビシンとの併用で相乗的にALL細胞の細胞死を誘導することが示された。抑制性分子の抑制を解除することが基本になっているので、気合いを入れて読まないと理解しにくい論文であるが、難治な造血器腫瘍であるALLに対する新たな概念の治療法の可能性を示した画期的な研究である。それにしても、IKAROSは多発性骨髄腫では真逆な作用を有しており、不思議な分子である。