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この論文に注目!Focus On

2020年4月の注目論文(Vol. 2)

伊豆津宏二(国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科 科長)

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血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2020年4月分(Vol. 2)は、伊豆津宏二氏が担当します。

Rituximab, cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine, and prednisolone combined with high-dose methotrexate plus intrathecal chemotherapy for newly diagnosed intravascular large B-cell lymphoma (PRIMEUR-IVL): a multicentre, single-arm, phase 2 trial.

Lancet Oncol. 2020 Mar 11. pii: S1470-2045(20)30059-0. doi: 10.1016/S1470-2045(20)30059-0.

Shimada K, Yamaguchi M, Atsuta Y, Matsue K, Sato K, Kusumoto S, Nagai H, Takizawa J, Fukuhara N, Nagafuji K, Miyazaki K, Ohtsuka E, Okamoto M, Sugita Y, Uchida T, Kayukawa S, Wake A, Ennishi D, Kondo Y, Izumi T, Kin Y, Tsukasaki K, Hashimoto D, Yuge M, Yanagisawa A, Kuwatsuka Y, Shimada S, Masaki Y, Niitsu N, Kiyoi H, Suzuki R, Tokunaga T, Nakamura S, Kinoshita T

ここに注目!

日本で行なわれた血管内大細胞型B細胞リンパ腫(intravascular large B-cell lymphoma; IVLBCL)に対する前向き第Ⅱ相試験の結果報告である。IVLBCLは、専門外の医師にも臨床像が知られるようになったことやランダム皮膚生検の普及によって、以前よりも早期に診断されるようになったのではないかと思われる。しかし、最適治療は定まっていない。この試験では、R-CHOP療法をまず3コース、中枢神経再発予防としてリツキシマブ併用メトトレキサート大量療法を2コース、さらにR-CHOP療法を3コース行なう治療で、3年無増悪生存割合が主要エンドポイントであった。単アームの試験で他の治療との比較はできないが、無増悪生存期間は良好な結果で、中枢神経再発もわずかに抑えられているようなので、しばらくこの治療が事実上の標準治療として位置づけられるだろう。