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最新の血液疾患解説Comments on Hematology

特集T/NK細胞リンパ腫の病態と治療開発の最前線新たな治療標的の発見と新規薬剤への期待(3)近年、T/NK細胞リンパ腫は、ゲノム、遺伝子発現、蛋白発現を含むオミクス解析技術の進歩等と共に、疾患ごとの病態解明は大きく前進した。また、最近では再発難治例を中心に相次いで新薬が承認され、治療選択肢が多様となった。ここでは、T/NK細胞リンパ腫の中で頻度の高い疾患(ここでは末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)と総称する)と成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)に焦点を絞り、化学療法から移植、さらには新薬開発まで幅広く解説いただいた。実臨床では、自分自身を含めて、目の前の患者さんに、さてどう治療するのが最もよいのか、と迷う場面も多いように思う。T/NK細胞リンパ腫の領域では、たとえ専門家であっても絶対的な正解を示すのが難しい状況の中で、本特集が現場で奮闘しておられる先生方のご判断の一助になり、またエールをお送りすることができれば、何よりである。(責任編集 坂田(柳元)麻実子)

微小環境中の免疫細胞でPTCL-NOSを層別化
免疫チェックポイント阻害薬への期待

杉尾健志(九州大学大学院 病態修復内科学)

末梢性T細胞リンパ腫・非特定型(PTCL-NOS)は、T/NK細胞リンパ腫の中で最も頻度が高く、予後不良である。我々は、PTCL-NOSの生物学的特徴を、新しい遺伝子発現解析システムを用いて解析し、微小環境中のB細胞などの免疫細胞が予後を規定することを明らかにした。予後不良な症例の約半数でPD-L1が高発現していることも見出し、新たな治療標的となる可能性がある。