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最新の血液疾患解説Comments On Hematology

特集骨髄異形成症候群(MDS)の最近の話題(3)骨髄異形成症候群(MDS)は加齢に伴って増加する骨髄性造血器腫瘍の一つで、造血幹細胞に蓄積するゲノム変異が発症に深く関与すると考えられている。治癒が期待できる治療法は同種造血幹細胞移植のみであるが、高リスク例に対するアザシチジンのように予後を改善させる薬剤、5番染色体欠失例(5qマイナス症候群)に対するレナリドミドなど有効な薬剤が使用可能となっている。低リスク例においては赤血球造血刺激因子による貧血の改善、輸血後鉄過剰症に対する経口鉄キレート薬なども使用でき、全体としては治療の進歩が見られている。ここでは、MDSの最近の話題として、ゲノム変異を加味した新しいリスク層別化スコアリングシステム、新たな貧血治療、高リスクMDSの新規治療、MDSの新しい病態解明という4つのテーマを取り上げ、それぞれ千葉滋先生、前田智也先生、市川幹先生、林嘉宏先生にご解説いただいた。(責任編集:宮﨑泰司)

高リスクMDSの新規治療を展望
HMAsとの併用など新薬の開発に期待

市川幹(NTT東日本関東病院 血液内科)

高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)では、同種造血幹細胞移植が治癒を望める唯一の治療法で、移植非適応の高リスクMDSの場合は、DNAメチル化阻害薬(HMAs)が現時点での唯一の治療選択肢となっている。近年、MDSの背景となっている遺伝子変異の解明が進んでいるが、すぐには治療に結び付かないのが現状である。ここでは、高リスクMDSに対する新規治療薬として有望視される薬剤を中心に、その有効性と臨床応用の可能性について展望する。