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最新の血液疾患解説Comments On Hematology

特集B細胞性急性リンパ性白血病の分子病態、層別化、治療をめぐる最新の話題(1)急性リンパ性白血病(ALL)は、小児に好発する造血器腫瘍であり、B細胞性ALL(B-ALL)が約8割を占める。小児のALLの生存率は約90%までに向上し、多くは治癒も見込めるようになったが、成人の生存率は約40%にとどまっている。しかしながら、近年、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)などの新規治療薬や新たな免疫細胞療法が登場し、治療成績の向上が期待されている。
本特集では、B-ALLの重要なテーマとして、ALLの遺伝子変異の最新情報、測定可能/微小残存病変(MRD)の臨床上の意義、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)の新たな治療戦略、再発・難治性ALLに対するCAR-T療法、AYA世代ALLの治療とケアを取り上げ、それぞれ、加藤元博先生、宮本敏浩先生、大西康先生、後藤秀樹先生、佐藤篤先生に、ご解説いただいた。
(責任編集 張替秀郎)

B-ALLにおける遺伝子変異は臨床的性質と密接に関連
包括的なゲノムプロファイルの理解が重要

加藤元博(東京大学医学部附属病院 小児科)

B前駆細胞性急性リンパ性の細胞に生じている遺伝子変異は臨床的な性質と密接に関連するため、正確な診断分類、予後予測、治療骨格の決定などに利用されている。近年のゲノム解析技術の進歩により、新たな分子遺伝学的なサブグループが同定され、網羅的な遺伝子検査の必要性につながっている。また、遺伝的背景が発症や薬剤感受性に関与することも知られるようになり、包括的なゲノムプロファイルの理解が重要である。