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2020年3月の注目論文(Vol. 1)

前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2020年3月分(Vol. 1)は、前田嘉信氏が担当します。

Optimizing Chimeric Antigen Receptor T-Cell Therapy for Adults With Acute Lymphoblastic Leukemia.

J Clin Oncol. 38(5):415-422

Frey NV, Shaw PA, Hexner EO, Pequignot E, Gill S, Luger SM, Mangan JK, Loren AW, Perl AE, Maude SL, Grupp SA, Shah NN, Gilmore J, Lacey SF, Melenhorst JJ, Levine BL, June CH, Porter DL

ここに注目!

CD19標的CART療法(tisagenlecleucel)は再発・難治性の小児B-ALLに81%の奏効率を示し、日本でも保険収載されている。しかし、サイトカイン放出症候群(CRS)は致死的合併症であり克服すべき課題である。本研究では、成人B-ALLを対象に、高用量(5 x 108)1回投与か、高用量もしくは低用量(5 x 107)を3日間分割投与(day1 10%、day2 30%、day3 60%)を行ない、比較検討した。その結果、低用量分割投与では効果も副作用も少なかったのに対し、高用量1回投与では6人中3人が治療抵抗性のCRSを発症した。一方、高用量分割投与群は90%の完全寛解と治療可能なCRSで、2年の全生存率が73%であった。3日間分割投与という単純な方法で重篤なCRSを回避しつつ、効果が得られる可能性が示唆され、実臨床にもすぐに応用されると思われる。

Haploidentical transplantation might have superior graft-versus-leukemia effect than HLA-matched sibling transplantation for high-risk acute myeloid leukemia in first complete remission: a prospective multicentre cohort study.

Leukemia. 2019 Dec 12. doi: 10.1038/s41375-019-0686-3.

Yu S, Huang F, Wang Y, Xu Y, Yang T, Fan Z, Lin R, Xu N, Xuan L, Ye J, Yu W, Sun J, Huang X, Liu Q

ここに注目!

本研究では、高リスクAMLの第一寛解期189人が、ドナーの有無による生物学的ランダマイズでHLA一致血縁者間移植(MSD)かハプロ移植に割り付けられ、移植を実施した。主要評価項目の移植後MRD陽性率は、MSD 42%に比べハプロ移植は18%と有意に少なかった。3年再発率もMSD 24%に比べハプロ移植は14%と少ない傾向にあり、GVL効果が高い可能性が示唆された。全生存率に差はなかったが、GVHDなしかつ再発なしの生存率は63% vs 43%と有意にハプロ移植が高かった。これらのことから、少なくとも高リスクAMLにおいて、第一寛解期のハプロ移植はMSDに劣ることなく積極的に実施できることが示唆された。

Impact of Conditioning Intensity of Allogeneic Transplantation for Acute Myeloid Leukemia With Genomic Evidence of Residual Disease.

J Clin Oncol. 2019 Dec 20:JCO1903011. doi: 10.1200/JCO.19.03011.

Hourigan CS, Dillon LW, Gui G, Logan BR, Fei M, Ghannam J, Li Y, Licon A, Alyea EP, Bashey A, Deeg HJ, Devine SM, Fernandez HF, Giralt S, Hamadani M, Howard A, Maziarz RT, Porter DL, Scott BL, Warlick ED, Pasquini MC, Horwitz ME

ここに注目!

同種移植前のMRD状況はAMLの予後に影響することが知られているが、本研究ではさらに前治療の強度との関係を明らかにしている。MACとRICに無作為に割り付けた比較試験で、前治療前の末梢血を採取し、AMLによくみられる13の遺伝子変異をNGSで解析しMRDの有無を調べた。その結果、MRD陰性の場合は、MACとRICの3年生存率に有意差はなく良好であった。一方、NGSレベルでMRDが陽性の場合は、3年の再発率(19% vs 67%)と3年生存率(61% vs 43%)の両方で有意差をもってMAC群が良好であった。MRD陽性群における多変量解析でも、RICは再発や全生存率低下と関連が認められた。MRDを調べることが、移植前治療の強度を決定する際に重要な情報となり得ることが示された。