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2019年11月の注目論文(Vol. 2)

宮﨑泰司(長崎大学 原爆後障害医療研究所 所長)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2019年11月分(Vol. 2)は、宮﨑泰司氏が担当します。

Gilteritinib or Chemotherapy for Relapsed or Refractory FLT3-Mutated AML.

N Engl J Med. 381(18):1728-1740

Perl AE, Martinelli G, Cortes JE, Neubauer A, Berman E, Paolini S, Montesinos P, Baer MR, Larson RA, Ustun C, Fabbiano F, Erba HP, Di Stasi A, Stuart R, Olin R, Kasner M, Ciceri F, Chou WC, Podoltsev N, Recher C, Yokoyama H, Hosono N, Yoon SS, Lee JH, Pardee T, Fathi AT, Liu C, Hasabou N, Liu X, Bahceci E, Levis MJ

ここに注目!

FLT3遺伝子変異は急性骨髄性白血病(AML)において最も頻度の高いものの一つであり、予後不良と強く関連している。Gliteritinibはinternal tandem duplicationおよびキナーゼドメイン点突然変異を有するFLT3に有効な経口FLT3阻害剤で、FLT3変異陽性AMLへの効果が期待されている。そこで本剤の効果を検証するために、再発・難治のFLT3変異AMLを対象にgilteritinibとサルベージ化学療法の無作為比較試験が実施された。全生存を主要評価項目として371例が2:1の比でgirteritinibと化学療法に割り付けられた。生存期間中央値はgilteritinib群で9.3カ月、化学療法群で5.6カ月と有意にgilteritinib群が優っていた(P<0.001)。Grade3以上の有害事象はgilteritinib群に少なく、gilteritinibは再発・難治FLT3変異陽性AMLへの新たな治療薬と考えられた。

Prospective randomized trial comparing two doses of rabbit anti-thymocyte globulin in patients with severe aplastic anaemia.

Br J Haematol. 187(2):227-237

Narita A, Zhu X, Muramatsu H, Chen X, Guo Y, Yang W, Zhang J, Liu F, Jang JH, Kook H, Kim H, Usuki K, Yamazaki H, Takahashi Y, Nakao S, Wook Lee J, Kojima S; Aplastic Anaemia Working Party of the Asia-Pacific Blood, Marrow Transplantation Group

ここに注目!

重症再生不良性貧血(SAA)に対する免疫抑制療法には抗胸腺細胞抗体(ATG)が用いられるが、本邦においてはウサギATGのみが使用可能である。その適正な投与量を決定するために、222名のSAA患者を無作為に2.5mg/kg群(112名)と3.5mg/kg(110名)に割り付け、シクロスポリンとの併用療法の効果を比較する第Ⅲ相試験が日本、中国、韓国による国際共同試験として実施された。主要評価項目は180日における血液学的反応性であったが2.5および3.5mg/kg群でそれぞれ49%、48%と差を認めなかった。3年の全生存割合も85%と91%と差がなかった。安全性にも違いはなく、ウサギATGの2.5および3.5mg/kg投与はSAAに対する治療として同等と考えられた。

Ibrutinib Plus Venetoclax in Relapsed/Refractory Chronic Lymphocytic Leukemia: The CLARITY Study.

J Clin Oncol. 37(30):2722-2729

Hillmen P, Rawstron AC, Brock K, Muñoz-Vicente S, Yates FJ, Bishop R, Boucher R, MacDonald D, Fegan C, McCaig A, Schuh A, Pettitt A, Gribben JG, Patten PEM, Devereux S, Bloor A, Fox CP, Forconi F, Munir T

ここに注目!

慢性リンパ性白血病(CLL)に対する治療は近年分子標的薬の導入で大きく展開した。再発・難治のCLL患者53例に対して抗アポトーシス蛋白であるBCL2の阻害薬(venetoclax, VEN)とB細胞受容体からのシグナル伝達の阻害薬(ibrutinib, IBR)の併用効果を検討する第Ⅱ相試験が実施された。主要評価項目は12カ月時点での測定可能病変(MRD, 10,000個の白血球中にCLL細胞が1個未満)の消失であったが、MRD陰性化は末梢血検体で28例(53%)、骨髄検体で19例(36%)において達成された。47例(89%)で血液学的反応が得られ、27例(51%)で完全寛解に至った。腫瘍崩壊症候群が1例で見られたものの、有害事象は全体に制御可能で全例が生存していた。VENとIBRの併用療法は再発・難治CLLに対して有効であり、高いMRD陰性化率より、今後治療を中止できる例が出てくることが期待される。