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2018年3月の注目論文(Vol. 1)

柴山浩彦(大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学 准教授)

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血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2018年3月分(Vol. 1)は、柴山浩彦氏が担当します。

Final analysis of survival outcomes in the phase 3 FIRST trial of up-front treatment for multiple myeloma.

Blood. 131(3):301-310

Facon T, Dimopoulos MA, Dispenzieri A, Catalano JV, Belch A, Cavo M, Pinto A, Weisel K, Ludwig H, Bahlis NJ, Banos A, Tiab M, Delforge M, Cavenagh JD, Geraldes C, Lee JJ, Chen C, Oriol A, De La Rubia J, White D, Binder D, Lu J, Anderson KC, Moreau P, Attal M, Perrot A, Arnulf B, Qiu L, Roussel M, Boyle E, Manier S, Mohty M, Avet-Loiseau H, Leleu X, Ervin-Haynes A, Chen G, Houck V, Benboubker L, Hulin C

ここに注目!

本論文は、2014年にNEJM誌に発表された初発移植非適応多発性骨髄腫患者に対するレナリドミド‐デキサメタゾン(Ld)療法とメルファラン‐プレドニゾロン‐サリドマイド(MPT)療法を比較した第Ⅲ相試験(FIRST試験)の長期フォローアップ(中央値67カ月)の結果である。NEJM誌掲載時点では、主要評価項目のPFSは、Ld継続群が、MPT群およびLd-18(18カ月で治療終了)群と比較し有意に延長したことが示されたが、本解析においては、OSの中央値は、Ld継続群:59.1カ月、MPT群:49.1カ月とLd継続群で約10カ月の延長がみられたものの、Ld-18群:62.3カ月とは差を認めなかったという結果である。しかし、VGPR以上の効果が得られた症例では、Ld継続群がLd-18群と比較し、次治療開始までの期間を約30カ月延長した。再発後の2nd lineの治療はボルテゾミブを含む治療が選択される症例が多かったが、その治療成績はLd継続群とLd-18群で差を認めなかった。2次癌の発生率も3群間で差を認めなかった。以上より、初発移植非適応多発性骨髄腫患者に対する標準治療がLd継続療法であることが示されたと著者らは結論している。