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学会レポートCongress Report

ASH2020注目テーマ 「治療を変える臨床試験結果」#412血液疾患領域では、既存のパラダイムを大きく変える研究や新規治療法の開発が常に進められている。ここでは、ASH2020で発表された多くの臨床試験の中から、臨床現場に大きな影響を及ぼす可能性のある報告を紹介する。高齢の骨髄異形成症候群(MDS)患者に対する同種造血幹細胞移植による全生存率の向上、再発・難治性多発性骨髄腫(RRMM)に対するダラツムマブの皮下注射とポマリドミド、デキサメタゾン併用による無増悪生存期間(PFS)の延長、ステロイド抵抗性/依存性の慢性移植片対宿主病(GVHD)に対するルキソリチニブの有効性、ルーティンで投与することが多いトラネキサム酸の出血予防効果の検証の4題である。

ダラツムマブ皮下注射とポマリドミドの併用で
再発・難治性多発性骨髄腫のPFSを有意に改善 Apollo: Phase 3 Randomized Study of Subcutaneous Daratumumab Plus Pomalidomide and Dexamethasone (D-Pd) Versus Pomalidomide and Dexamethasone (Pd) Alone in Patients (Pts) with Relapsed/Refractory Multiple Myeloma (RRMM) (#412)

Meletios A. Dimopoulos(National and Kapodistrian University of Athens in Athens, Greece)

再発・難治性多発性骨髄腫(RRMM)に対し、抗CD38抗体であるダラツムマブの皮下注射剤とポマリドミド、デキサメタゾンの併用療法(D-Pd)は、ポマリドミドとデキサメタゾンの併用療法(Pd)に比べ、死亡または病勢進行のリスクを37%減少させることが明らかになった。これは、2つの治療法の有効性と安全性を比較した第Ⅲ相臨床試験APOLLO試験の結果。