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学会レポートCongress Report

ASH2020注目テーマ 「治療を変える臨床試験結果」#77血液疾患領域では、既存のパラダイムを大きく変える研究や新規治療法の開発が常に進められている。ここでは、ASH2020で発表された多くの臨床試験の中から、臨床現場に大きな影響を及ぼす可能性のある報告を紹介する。高齢の骨髄異形成症候群(MDS)患者に対する同種造血幹細胞移植による全生存率の向上、再発・難治性多発性骨髄腫(RRMM)に対するダラツムマブの皮下注射とポマリドミド、デキサメタゾン併用による無増悪生存期間(PFS)の延長、ステロイド抵抗性/依存性の慢性移植片対宿主病(GVHD)に対するルキソリチニブの有効性、ルーティンで投与することが多いトラネキサム酸の出血予防効果の検証の4題である。

ステロイド抵抗性/依存性の慢性GVHDに対し
ルキソリチニブが従来治療の2倍近くの奏効率 Ruxolitinib (RUX) Vs Best Available Therapy (BAT) in Patients with Steroid- Refractory/Steroid-Dependent Chronic Graft-Vs-Host Disease (cGVHD): Primary Findings from the Phase 3, Randomized REACH3 Study (#77)

Robert Zeiser(University Medical Center, Freiburg Im Breisgau, Germany)

JAK1/JAK2チロシンキナーゼ阻害薬のルキソリチニブが、ステロイド抵抗性/依存性の慢性移植片対宿主病(GVHD)の症状を大きく改善することが、ランダム化第Ⅲ相臨床試験REACH3試験の結果、明らかになった。報告したドイツのRobert Zeiser氏は「この結果は、ステロイド抵抗性/依存性の慢性GVHD患者に対する治療を大きく進歩させるものといえる。慢性GVHDに対する二次治療として推奨され、ガイドラインを変える指標になるだろう」と述べた。