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2021年12月の注目論文(Vol. 2)

張替秀郎(東北大学大学院 医学系研究科 血液・免疫病学分野 教授)

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血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2021年12月分(Vol. 2)は、張替秀郎氏が担当します。

ここに注目!

赤血球に発現するTLR9に結合したDNAは自然免疫と貧血を誘導する

赤血球は酸素運搬に必須の細胞であることはよく知られているが、免疫にかかわる機能はないと考えられてきた。本研究は、赤血球が免疫センサーとして重要な機能を有することを明らかにしている。
筆者らは赤血球がTLR9を発現し、細菌、原虫、ミトコンドリア由来のCpG含有DNAと結合することを見出した。In vivoにおいて、CpG DNAと結合した赤血球は、マクロファージの赤血球貪食を促進しクリアランスを早めるだけでなく、インターフェロンシグナル伝達を亢進させ、自然免疫を活性化させることが明らかとなった。実際に赤血球特異的にTLR9を欠失させたマウスでは、赤血球貪食が低下し、CpGによって誘導される炎症や原虫の敗血症におけるサイトカイン産生が低下することが確認された。
これらの所見は、赤血球が酸素運搬だけでなく炎症においても重要な役割を果たしていることを示唆している。