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最新の血液疾患解説Comments On Hematology

特集多発性骨髄腫の最新動向(4)多発性骨髄腫の診療は、近年新たな局面を迎えている。プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗CD38抗体の普及により予後は改善し、初発例では4剤併用療法が、再発・難治例ではCAR-T細胞療法や二重特異性抗体が実臨床に導入されつつある。さらに、ゲノム解析や微小残存病変(MRD)の高感度評価技術の進歩により、治療効果を正確に把握し個別化医療へ近づいている。本特集では、これらの最新動向を包括的に取り上げた。(責任編集 柴山浩彦)

MRDの臨床的意義の進展
治療中止の判断指標としての可能性と
末梢血による低侵襲評価の展望

髙松博幸(金沢大学附属病院 血液内科/融合研究域融合科学系)

多発性骨髄腫(MM)は、新規薬剤の相次ぐ導入により治療成績が大きく向上しており、完全奏効症例のさらなる層別化が求められている。その中で、微小残存病変(MRD)は、予後予測に有用なサロゲートマーカーとして、臨床現場でも活用が進んでいる。本稿では、骨髄を用いたMRD評価法の進展に加え、末梢血細胞および血清による低侵襲なMRD評価の技術的進歩、さらにはMRDに基づく治療選択の可能性について概説し、MRDの新たな臨床的意義を展望する。