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最新の血液疾患解説Comments On Hematology

特集B細胞リンパ腫をめぐる最新トピックスCAR-T療法や新規治療薬による治療成績向上への期待(2)B細胞リンパ腫は、患者数においてリンパ腫全体の3分の2以上を占め、血液内科医が診療する機会が多い疾患群であろう。ここでは、新規治療薬を中心としたトピックスに焦点を当て、それぞれの専門家に解説していただいた。まず、DLBCLのサブタイプの一つで予後不良とされるダブルヒットリンパ腫の分子病態とその治療の可能性、そして濾胞性リンパ腫に対する新規抗CD20抗体薬のオビヌツズマブの位置づけについての解説。次に、新しいWHO分類で遺伝子変異が診断に取り入れられ、わが国では適応外ながらブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬により治療体系が変わりつつある原発性マクログロブリン血症についての解説。最後に、最近、わが国で承認された新規治療薬から、再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対するCD19標的CAR-T療法である。いずれも血液内科医として知っておくべき重要なトピックスであろう。(責任編集 伊豆津宏二)

濾胞性リンパ腫に対する新規治療薬への期待
初発/再発・難治性例ともに治療選択肢が広がる

賴晋也(近畿大学病院 血液・膠原病内科)

濾胞性リンパ腫(FL)は、緩徐な臨床経過を示す一方、治療奏効例においても長期的にみると再発をきたすことが多く、リツキシマブ時代においても治癒が困難な疾患である。一方で、近年は新規治療薬の臨床応用が進み、治療選択肢は増えつつある。ここではFLに対する新規治療薬の位置づけと今後の展望を述べる。