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2020年2月の注目論文(Vol. 1)

柴山浩彦(大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学 准教授)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2020年2月分(Vol. 1)は、柴山浩彦氏が担当します。

Overall survival with daratumumab, bortezomib, melphalan, and prednisone in newly diagnosed multiple myeloma (ALCYONE): a randomised, open-label, phase 3 trial.

Lancet. 395(10218):132-141

Mateos MV, Cavo M, Blade J, Dimopoulos MA, Suzuki K, Jakubowiak A, Knop S, Doyen C, Lucio P, Nagy Z, Pour L, Cook M, Grosicki S, Crepaldi A, Liberati AM, Campbell P, Shelekhova T, Yoon SS, Iosava G, Fujisaki T, Garg M, Krevvata M, Chen Y, Wang J, Kudva A, Ukropec J, Wroblewski S, Qi M, Kobos R, San-Miguel J

ここに注目!

移植非適応の初発多発性骨髄腫(MM)患者(706名)を対象に、これまでの標準治療の一つであったVMP療法(356名)と、ダラツムマブ(Dara)併用のDara-VMP療法(350名)を比較したALCYONE試験では、Dara-VMP療法において、PFSが有意に延長することが示されている。本論文では、フォローアップの期間を中央値40.1カ月に延長した時点で、全生存率もDara-VMP療法で有意に優れていることが示された(3年生存率:78.0% vs 67.9%、ハザード比:0.60)。PD後の後治療において、VMP療法群でPDとなった患者202名の10%がDaraを含む治療を受けており、その患者の3年生存率は100%であった。また、Daraの維持療法期に、有害事象として呼吸器感染症(上気道炎:19%、気管支炎:15%、ウィルス性上気道炎:12%、咳:12%)が多くみられている。Dara継続投与の意義が明らかにされるには、さらに長期間のフォローが必要と思われる。

Isatuximab plus pomalidomide and low-dose dexamethasone versus pomalidomide and low-dose dexamethasone in patients with relapsed and refractory multiple myeloma (ICARIA-MM): a randomised, multicentre, open-label, phase 3 study.

Lancet. 394(10214):2096-2107

Attal M, Richardson PG, Rajkumar SV, San-Miguel J, Beksac M, Spicka I, Leleu X, Schjesvold F, Moreau P, Dimopoulos MA, Huang JS, Minarik J, Cavo M, Prince HM, Macé S, Corzo KP, Campana F, Le-Guennec S, Dubin F, Anderson KC; ICARIA-MM study group

ここに注目!

ボルテゾミブとレナリドミドに抵抗性を示すダブルレフラクトリーMM患者に対する有効な治療は限られている。一つの候補がポマリドミド(Pom)であったが、Pom-Dex(Pd)治療の有効性は限定的であった。最近になり、Pdにボルテゾミブを併用したVPd療法やエロツズマブを併用したEloPd療法がPdと比較し有効であることが示され、日本でも保険適用で併用可能となった。本論文は、新規の抗CD38抗体のIsatuximab(Isa)とPdを併用したIsaPdとPdを、約70%のダブルレフラクトリーMM患者を含む最低2ラインの前治療歴のある患者に行なった比較試験の結果である。PFS中央値は11.5カ月と6.5カ月で、有意にIsaPdが優れていた(ハザード比:0.596)。本試験では、Dara抵抗性の患者は対象に含まれておらず、今後、Daraが初期治療で使用されるようになった場合、IsaPd療法をどのような患者に選択するかが重要なテーマになると思われる。

Response-adapted intensification with cyclophosphamide, bortezomib, and dexamethasone versus no intensification in patients with newly diagnosed multiple myeloma (Myeloma XI): a multicentre, open-label, randomised, phase 3 trial.

Lancet Haematol. 6(12):e616-e629

Jackson GH, Davies FE, Pawlyn C, Cairns DA, Striha A, Collett C, Waterhouse A, Jones JR, Kishore B, Garg M, Williams CD, Karunanithi K, Lindsay J, Wilson JN, Jenner MW, Cook G, Kaiser MF, Drayson MT, Owen RG, Russell NH, Gregory WM, Morgan GJ; UK NCRI Haematological Oncology Clinical Studies Group

ここに注目!

MyelomaXI試験は、MM治療におけるクリニカルクエスチョンに答えるためにイギリス全土で行なわれた大規模な前向き比較試験である。3,894名の患者を最初にCRD(シクロフォスファミド、レナリドミド、デキサメタゾン)療法とCTD(シクロフォスファミド、サリドマイド、デキサメタゾン)療法にランダム化し、効果が不十分な患者に対しては、CVD療法で治療強度を高めるかどうかに再度ランダム化し、最終的には維持療法を行なうかどうかにランダム化する試験である。本論文では、CVD療法による強化療法の意義をCRDかCTDによる最初の治療効果がPRかMRであった患者を対象に検証した結果が報告された。PRかMRであった1,217名のうち、583名がCVD療法を受ける289名と受けない294名にランダム化された。CVDによる強化療法により、PFSは有意に延長がみられたが(30カ月 vs 20カ月)、OSには差を認めなかった。しかし、イギリスでは、治療効果に基づいて強化療法を追加する治療戦略が一般的に行なわれているとのことである。