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この論文に注目!Focus On

2019年5月の注目論文(Vol. 1)

伊豆津宏二(国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科 科長)

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血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2019年5月分(Vol. 1)は、伊豆津宏二氏が担当します。

Sensitivity and specificity of incisional random skin biopsy for diagnosis of intravascular large B-cell lymphoma.

Blood. 133(11):1257-1259

Matsue K, Abe Y, Kitadate A, Miura D, Narita K, Kobayashi H, Takeuchi M, Enzan N, Tanaka A, Takeuchi K

ここに注目!

血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)の診断におけるランダム皮膚生検(RSB)の有用性を提唱した亀田総合病院末永先生らによる、IVLBCL疑いでRSBを受けた連続症例の後方視研究の結果が報告されている。RSBでは、脂肪の多い大腿、腹部、上腕の3カ所から皮下脂肪組織(毛細血管を多く含む)をとることによって、IVLBCLの診断感度が77.8%であった。海外からの報告ではRSBの診断感度はかなり低いとされていたが、小さい・浅い検体しか採取できないパンチ生検が多いようで、毛細血管を多く含む皮下脂肪組織がとれていなかったためではないかと著者らは推測している。RSBを考慮する患者は日常的に遭遇するが、RSBの方法について皮膚科医とコミュニケーションをとる際に有用な知見であろう。