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学会レポートCongress Report

EHA2021 Virtualレポート⑥ EHA-JSH Joint Symposium第26回欧州血液学会(EHA2021)は、2021年6月9~17日まで、昨年と同様にバーチャルミーティング形式での開催となった。新型コロナウイルスの感染が収束しないことに対応したもので、オープニングセレモニーで会長のJohn Gribbe氏(英国・Queen Mary大学)は「対面でのコミュニケーションはできないが、EHAは血液学領域の医師や研究者が情報交換する場を提供するという役割は変わらない」と述べた。
EHA2021では、会長シンポジウムやプレナリーセッション、Late-breaking Session、EHAと各国の血液学会とのジョイントシンポジウムなどの主要セッションがライブ配信され、ほとんどのオーラルセッションとe-ポスターセッションなどがオンデマンド配信された。

iPS細胞の研究と臨床応用の最近の進歩
疾患の克服から若返り技術としての可能性まで

iPS細胞(人工多能性幹細胞)がマウスで作出されて今年で15年になる(ヒトでは14年)。この間、様々な臨床応用のスタイルが模索され続け今日に至っている。京都大学iPS細胞研究所(CiRA)では日本人の臓器移植のシーズとしてiPS細胞を活用するためのiPS細胞の備蓄(バンキング事業)を開始するとともに、患者由来の細胞からiPS化を経て疾患細胞を構築し、基礎研究や治療薬のスクリーニングを行なう系の確立に注力しており、一部で成果を挙げつつあるという。「EHA-JSH Joint Symposium:Induced Pluripotent Stem Cells as Disease Models」では、ノーベル医学・生理学賞受賞者でCiRAの所長である山中伸弥氏が、iPS細胞の臨床研究の最新状況を報告した。