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学会レポートCongress Report

EHA2018スペシャルレポート わが国の若手研究者の発表より(1) EHA2018では約2,800の採択演題のうち4割以上が誌上発表のみであったため、口演発表の採択率がとても低く、著名な研究者でもポスターで発表する姿がみられました。ここでは、EHAで初めて口演発表、ポスター発表を行なった日本の若手研究者3名に注目し、ご研究内容とEHA発表後の感想をお聞きしました。

コヒーシン遺伝子STAG2が造血系に及ぼす影響を
条件付きノックアウトマウスの解析を通じて解明

越智陽太郎(京都大学大学院医学研究科 腫瘍生物学講座)

第23回欧州血液学会(EHA2018)の「AML Biology & Translational Research 1 : Epigenetics」というセッションで口演発表しました。タイトルは「Stag2 regulates hematopoietic differentiation and self-renewal」です。これは、コヒーシン遺伝子の一つであるSTAG2遺伝子の機能を調べるために、Stag2遺伝子条件付きノックアウトマウスを作成し、解析した研究結果です。Stag2欠失造血幹細胞でGata1Gata2Runx1といった造血幹細胞の維持、分化を制御する転写因子群が高発現し、造血幹細胞の自己複製能の向上や分化障害が生じることなどが明らかになりました。