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この論文に注目!Focus On

2024年12月の注目論文(Vol. 1)

前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2024年12月分(Vol. 1)は、前田嘉信氏が担当します。

Vedolizumab for the prevention of intestinal acute GVHD after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation: a randomized phase 3 trial

Nat Med. 2024 Aug;30(8):2277-2287. doi: 10.1038/s41591-024-03016-4. Epub 2024 Jun 6.

Yi-Bin Chen, Mohamad Mohty, Robert Zeiser, Takanori Teshima, Omer Jamy, Johan Maertens, Duncan Purtill, Jingjing Chen, Hong Cao, Guillermo Rossiter, Johan Jansson, Yngvar Fløisand

ここに注目!

腸管は、ドナー細胞のGVHD標的臓器であるとともにGVHDを惹起する場所でもある。ベドリズマブはα4β7インテグリンに対する抗体薬で、主に腸管リンパ組織の血管に発現するMAdCAM-1とα4β7インテグリンが接着することを阻害し、リンパ球が腸管へ移動することを抑制する。本研究では、343人を対象にカルシニューリン阻害剤とMTX/MMFによる標準的GVHD予防法にベドリズマブを加えるか否かの無作為化比較試験を実施している。主要評価項目であるday180での下部消化管aGVHDなしの生存率は85.5% vs. 70.9%とベドリズマブ追加群で有意な抑制がみられた。副作用は両群で差がなく、再発率にも差がなかった。ドナーリンパ球の移動先をコントロールすることにより、GVHDとGVLを分離できる可能性が示唆された。