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特集造血器腫瘍ゲノム医療(2)2024年3月に造血器腫瘍遺伝子パネル検査が承認申請され、臨床実装に向けた準備が進んでいる。わが国で独自に開発された遺伝子パネルであり、承認されれば多くの造血器腫瘍の診断や予後予測、治療法の選択に活用されることが期待されている。
ここでは、わが国独自の造血器腫瘍遺伝子パネル検査の開発に至る経緯と社会実装に向けた課題、ゲノムプロファイリングの有用性と臨床応用における課題、そして生殖細胞系列バリアントの検出とそのフォローという、造血器腫瘍遺伝子パネル検査に関わる3つの重要なテーマを取り上げ、それぞれの専門家に解説いただいた。
(責任編集 坂田(柳元)麻実子)

ゲノムプロファイリングにより、治療薬選択のみならず、
より正確な診断と予後予測に基づく精緻な治療法選択が可能に

前田高宏(九州大学大学院 医学研究院 プレシジョン医療学分野)

がんゲノム情報を活用したがんゲノム医療は、わが国では固形がんを対象に遺伝子パネル検査が保険収載されすでに臨床応用されている。一方、造血器腫瘍では変異をきたす遺伝子異常の種類が固形がんとは異なり、固形がんの遺伝子パネル検査をそのまま用いることができないことから、造血器腫瘍に特化した遺伝子パネル検査が開発され、ごく最近、薬事承認された。パネル検査開発の経緯については他稿(片岡圭亮先生「わが国独自の遺伝子パネル検査を開発」)に譲り、ここでは、造血器腫瘍領域における遺伝子パネル検査の有用性と、臨床応用に向けた課題について概説する。