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2018年9月の注目論文(Vol. 2)

坂田麻実子(筑波大学 医学医療系 血液内科 准教授)

2018.09.27

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2018年9月分(Vol. 2)は、坂田麻実子氏が担当します。

CCR4 mutations associated with superior outcome of adult T-cell leukemia/lymphoma under mogamulizumab treatment.

Blood. 132(7):758-761

Sakamoto Y, Ishida T, Masaki A, Murase T, Yonekura K, Tashiro Y, Tokunaga M, Utsunomiya A, Ito A, Kusumoto S, Iida S, Ueda R, Inagaki H

ここに注目!

成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATL)におけるCCR4変異の臨床的意義に関する本邦からの研究報告。ATLの多くはCCR4を発現することから、CCR4を標的とする抗体薬モガムリズマブが開発された。さらに一部のATLではCCR4のC末に機能獲得型変異がみられる。本研究においては、ATL116例のうちCCR4変異は38例(32.8%)にみられた。CCR4変異の有無により臨床パラメータに差は認めなかった。「モガムリズマブ未使用かつ同種造血幹細胞移植(allo HSCT)未施行」群、および「allo HSCT施行」群では、CCR4変異の有無によりOSに差を認めなかった。しかしながら、「モガムリズマブ使用かつallo HSCT未施行」群における5年OSは、病型全体およびアグレッシブATLのいずれでも、CCR4変異(+)のほうが変異(-)より良好であった(5年OS、CCR4変異(+) vs (-): [病型全体 n=42] 72.2% vs 26.2% [p=0.027]、[アグレッシブATL n=38] 80.0% vs 24.7% [p=0.006])。CCR4変異はモガムリズマブの有効性を予測する優れたバイオマーカーとなる可能性がある。今後、大規模研究による検証が望まれる。

Rituximab and the risk of transformation of follicular lymphoma: a retrospective pooled analysis.

Lancet Haematol. 5(8):e359-e367

Federico M, Caballero Barrigón MD, Marcheselli L, Tarantino V, Manni M, Sarkozy C, Alonso-Álvarez S, Wondergem M, Cartron G, Lopez-Guillermo A, Issa D, Morschhauser F, Alcoceba M, Kimby E, Rusconi C, Chamuleau M, Holte H, Lockmer S, Montoto S, Gomes da Silva M, Aurer I, Zucca E, Paszkiewicz-Kozik E, Minoia C, Skrypets T, Blaker YN, Salles G, Coiffier B; Aristotle Consortium

ここに注目!

濾胞性リンパ腫における組織学的進展(histological transformation)に対するリツキシマブの影響を調べた研究(Aristotle study)。11の研究グループにおける初発濾胞性リンパ腫のデータをもとに、first line therapy後の最初のイベントとして、組織学的進展(生検によって確定診断されたアグレッシブリンパ腫と定義)の発症について調べた。濾胞性リンパ腫10,001例のうち8,116例について解析可能であり、組織学的進展は509例にみられた。10年間における組織学的進展の発症率は全体としては7.7%であり、リツキシマブ使用群では5.2%、非使用群では8.7%、また寛解導入療法のみにおけるリツキシマブ使用群では5.9%、寛解導入療法と維持療法におけるリツキシマブ使用群では3.6%であった。リツキシマブを使用することで、組織学的進展の頻度が低下する可能性がある。

Mutation Clearance after Transplantation for Myelodysplastic Syndrome.

N Engl J Med. 379(11):1028-1041

Duncavage EJ, Jacoby MA, Chang GS, Miller CA, Edwin N, Shao J, Elliott K, Robinson J, Abel H, Fulton RS, Fronick CC, O'Laughlin M, Heath SE, Brendel K, Saba R, Wartman LD, Christopher MJ, Pusic I, Welch JS, Uy GL, Link DC, DiPersio JF, Westervelt P, Ley TJ, Trinkaus K, Graubert TA, Walter MJ

ここに注目!

骨髄異形成症候群について腫瘍細胞で検出された遺伝子変異を同種造血幹細胞移植後に評価し、臨床経過との関連を調べた研究。移植前の骨髄の全エクソンシーケンス解析により腫瘍細胞の変異を同定し、移植後day30の骨髄について検出感度0.5%まで高めた方法(100細胞あたりヘテロ接合変異をもった1細胞に相当)で当該変異の有無を解析した。90例のうち86例(96%)では腫瘍細胞に1個以上の変異が見つかった。移植後day30で変異が1個以上検出された場合は、検出されない場合に比べて1年後の原病進行の頻度は高く(53.1%vs13.0%、p<0.001)、PFSも低かった(31.3% vs 59.3%、p=0.005)。なかでも、前処置がReduced intensity regimenかつ移植後day30で変異が検出された場合にPFSは低かった。骨髄異形成症候群における移植後day30における変異は、原病進行を予測するバイオマーカーとして有用な可能性がある。