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2018年7月の注目論文(Vol. 2)

前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)

2018.07.19

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2018年7月分(Vol. 2)は、前田嘉信氏が担当します。

Brentuximab vedotin prior to allogeneic stem cell transplantation in Hodgkin lymphoma: a report from the EBMT Lymphoma Working Party.

Br J Haematol. 181(1):86-96

Bazarbachi A, Boumendil A, Finel H, Mohty M, Castagna L, Peggs KS, Blaise D, Afanasyev B, Diez-Martin JL, Sierra J, Bloor A, Martinez C, Robinson S, Malladi R, El-Cheikh J, Corradini P, Montoto S, Dreger P, Sureda A

ここに注目!

CD30を標的とする抗体薬物複合体Brentuximab vedotin(BV)の同種造血幹細胞移植(Allo)前使用による影響を検討したEBMTからの論文である。2010年から2014年までにAlloが行われたホジキンリンパ腫患者で、移植前にBVが使用された210例(BVあり群)と使用されなかった218例(BVなし群)の予後を比較した。BVあり群の方が、BVなし群に比べ移植前の化学療法レジメンが有意に多かったが、それ以外の背景因子に差はなかった。多変量解析の結果、“BVあり”は急性GVHD、非再発死亡、再発、PFS、OSに影響を与えず、慢性GVHDのリスクは低かった(HR 0.64、95%CI 0.45-0.92、p<0.02)。この結果については、BVがドナーCD30陽性T細胞に影響した可能性があるが、慢性GVHDを抑制した機序は不明である。BVの最終投与からAlloまでの期間についての記載はないが、少なくともBVで救済してからのAlloは予後に不利に働かず、BVがAlloまでの橋渡し治療となり得ることが示唆された。

Nivolumab for Relapsed/Refractory Classic Hodgkin Lymphoma After Failure of Autologous Hematopoietic Cell Transplantation: Extended Follow-Up of the Multicohort Single-Arm Phase II CheckMate 205 Trial.

J Clin Oncol. 36(14):1428-1439

Armand P, Engert A, Younes A, Fanale M, Santoro A, Zinzani PL, Timmerman JM, Collins GP, Ramchandren R, Cohen JB, De Boer JP, Kuruvilla J, Savage KJ, Trneny M, Shipp MA, Kato K, Sumbul A, Farsaci B, Ansell SM

ここに注目!

自家移植後の再発・難治ホジキンリンパ腫患者に対し抗PD-1抗体Nivolumabが投与された第II相試験CheckMate205の長期観察データである。観察期間中央値18カ月時点で243例のうち40%は継続加療中であった。奏効率は69%(95%CI 63-75%)で、奏効持続期間は16.6カ月(95%CI 13.2-20.3カ月)であった。Nivolumabは再発・難治ホジキンリンパ腫患者に対し一定期間の奏効が持続することが示された。また、最終投与から中央値49日後に同種造血幹細胞移植が行われた44例の解析から、Nivolumab後の同種移植によって急性GVHDや治療関連死亡は増加することがないことも示唆され、注意が必要であるが禁忌ではないと考えられる。

Molecular Minimal Residual Disease in Acute Myeloid Leukemia.

N Engl J Med. 378(13):1189-1199

Jongen-Lavrencic M, Grob T, Hanekamp D, Kavelaars FG, Al Hinai A, Zeilemaker A, Erpelinck-Verschueren CAJ, Gradowska PL, Meijer R, Cloos J, Biemond BJ, Graux C, van Marwijk Kooy M, Manz MG, Pabst T, Passweg JR, Havelange V, Ossenkoppele GJ, Sanders MA, Schuurhuis GJ, Löwenberg B, Valk PJM

ここに注目!

AML治療後4年時点の分子レベルMRDの意義について、次世代シークエンサーを用いて検討した報告である。ターゲットを絞ったシークエンスを行い、新規AML患者482例のうち430例(89.2%)に1つ以上の変異が検出でき、そのうち51.4%ではCR中もMRDが検出された。加齢に伴うクローン性造血にしばしばみられるDTA変異(DNMT3A、TET2、ASXL1変異)の検出は再発と関係しなかった。DTA変異を除くと分子レベルMRDが再発と関係し、無再発生存率、OSの低下に関連した。偽陰性があるものの、AMLにおいて分子レベルMRDは再発と生存の予後予測に有用であること、また、クローン性造血に関するDTA変異が予後予測に使えないことが確認された。