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2018年2月の注目論文(Vol. 2)

伊豆津宏二(国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科 科長)

2018.02.22

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2018年2月分(Vol. 2)は、伊豆津宏二氏が担当します。

Axicabtagene Ciloleucel CAR T-Cell Therapy in Refractory Large B-Cell Lymphoma.

N Engl J Med. 377(26):2531-2544

Neelapu SS, Locke FL, Bartlett NL, Lekakis LJ, Miklos DB, Jacobson CA, Braunschweig I, Oluwole OO, Siddiqi T, Lin Y, Timmerman JM, Stiff PJ, Friedberg JW, Flinn IW, Goy A, Hill BT, Smith MR, Deol A, Farooq U, McSweeney P, Munoz J, Avivi I, Castro JE, Westin JR, Chavez JC, Ghobadi A, Komanduri KV, Levy R, Jacobsen ED, Witzig TE, Reagan P, Bot A, Rossi J, Navale L, Jiang Y, Aycock J, Elias M, Chang D, Wiezorek J, Go WY

ここに注目!

再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対するCAR-T細胞療法の多施設第Ⅱ相試験(ZUMA-1試験)の結果報告である。2016年の米国血液学会でlate breaking abstractsとして報告された後、昨年の同学会でもフォローアップの結果が報告され、注目を集めていた。この試験の結果を根拠として、米国ではDLBCLに対するこのCAR-T細胞療法axicabtagene ciloleucel (axi-cel)が承認されている。

まだ観察期間中央値が15カ月と短いが、CAR-T細胞療法による効果が少なくとも一定期間続くことが分かってきた。また、同様の難治性例の患者の予後を後方視的にみたSCHOLAR-1研究における予後と比較して、CAR-T細胞療法を受けた患者のそれは良好であった。ただし、これによる治癒が得られるかは現時点で分かっておらず、しばらく注目が必要である。

PET-guided treatment in patients with advanced-stage Hodgkin’s lymphoma (HD18): final results of an open-label, international, randomised phase 3 trial by the German Hodgkin Study Group.

Lancet. 390(10114):2790-2802

Borchmann P, Goergen H, Kobe C, Lohri A, Greil R, Eichenauer DA, Zijlstra JM, Markova J, Meissner J, Feuring-Buske M, Hüttmann A, Dierlamm J, Soekler M, Beck HJ, Willenbacher W, Ludwig WD, Pabst T, Topp MS, Hitz F, Bentz M, Keller UB, Kühnhardt D, Ostermann H, Schmitz N, Hertenstein B, Aulitzky W, Maschmeyer G, Vieler T, Eich H, Baues C, Stein H, Fuchs M, Kuhnert G, Diehl V, Dietlein M, Engert A

ここに注目!

進行期ホジキンリンパ腫(HL)に対する初回化学療法として、ドイツでは強化BEACOPP療法が標準治療となっている。この強化BEACOPP療法を最適化するというのが本試験の目的で、その手段として強化BEACOPP療法2サイクル後のPET-CT(PET-2)による治療層別化が行われた。

PET-2陰性の患者で、従来どおり合計8サイクルを行う群(先行試験の結果を受け途中から6サイクルに変更)と、合計4サイクルで終了する群のいずれかにランダム化された。約半数の患者がPET-2陰性で、強化BEACOPP療法が8(または6)サイクルか4サイクルかで5年無増悪生存率には差がみられなかった。強化BEACOPP療法では妊孕性に対する影響や二次性骨髄異形成症候群/白血病のリスクなどが問題とされるが、4サイクルで終了した場合にどうか、今後の経過観察が注目される。

Five-year results of brentuximab vedotin in patients with relapsed or refractory systemic anaplastic large cell lymphoma.

Blood. 130(25):2709-2717

Pro B, Advani R, Brice P, Bartlett NL, Rosenblatt JD, Illidge T, Matous J, Ramchandren R, Fanale M, Connors JM, Fenton K, Huebner D, Pinelli JM, Kennedy DA, Shustov A

ここに注目!

以前報告された、再発・難治性未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)に対するbrentuximab vedotin(BV; 抗CD30抗体薬物複合体)の海外pivotal試験の長期フォローアップデータである。この試験では、BV治療後の幹細胞移植が許容されていた。ALCLは他のT細胞リンパ腫と比較して相対的に予後がよい(特にALK陽性例)が、再発・難治性例では他のT細胞リンパ腫と同様に予後不良である。このため、再発・難治性ALCLでは救援化学療法が奏効した場合、自家移植や同種移植を地固め療法として行うことが選択肢となる。この試験に登録された患者で地固め療法として自家移植を行った患者では、5年無増悪生存率が75%と非常に良好な成績であった。